山と愛蘭土 ☘ Sliabh & Éire ☘

山の歴史やアイルランドの文化を綴っていきます

【登山@アイルランド】悪魔がかじった山 『Devil's Bit Mountain』は地平線まで緑の広がる大展望!April 2016

ブレクジット問題でとうとう首相が涙の退陣をすることになった混迷のイギリス。

そんなイギリスをかつて宗主国とし、第二次世界大戦後に独立した愛蘭土(アイルランド)。

先週の離婚条件緩和に関する国民投票では、80%以上の賛成となりました。僅差で離婚賛成が上回った20数年前の国民投票と比べると、敬虔なカトリック国であったアイルランドも世界標準の波にさらされているようです。近年では中絶や同性婚などが国民投票で認められましたね。

私が初めて訪れた時のアイルランドから確実に変わりつつあるようです。

 

なんて考えていたら、最近は山の記事ばかりで、私の愛してやまないアイルランドの記事が少ないなぁ……

ということで、

伝説級のパブでの伝統音楽の演奏や唄に感動し、知り合いのおじさんにウィスキーなみなみ一杯の刑を何度もくらった夜(笑)の翌日に登った、アイルランドの山のお話でも!

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週に一回しか開かないパブ。そこでは夜な夜な伝統音楽の演奏が繰り広げられ、その評判は全国に…… 

 

Contents 

 

"Devil's Bit Mountain" 登山ガイド

このブログを始めたばかりに記事にした "Devil's Bit Mountain"(悪魔に齧られた?齧った?山)。

アイルランドの聖人と悪魔の伝説が残るこの山は、私にとって一番馴染みのあるアイルランドの山です。

「悪魔が齧った山」は、アイルランド島中央部から少し南に下った牧草地広がる平原に、緩やかに起伏する山

悪魔が齧ったかのようなギャップが山の頂きに残るこの山に、ちょっと二日酔い気味の3年前、久し振りに登りました。

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Templemore 郊外から撮影 

 

Devil's Bit Mountain(でびるず・びっと・まうんてん) 難易度:★☆☆☆☆

【所在地】Glenreagh, Co. Tipperary, Ireland

【アクセス】車:ダブリン空港からM50>N7 (M7) >N62経由で2時間30分(160㎞)。列車:最寄り駅 Templemore Station から徒歩2時間(10㎞)……

【山頂標高】478m

【登山口標高】250m

【コース距離】5㎞弱

【参考コース時間】1時間30分ほど

【展望良さ】★★★★★×100! (大きな十字架が立つ山頂からは、緑の牧草地が地平線までずーっと広がります!40 shades of green~♪)

【山域地質】山腹は古生代シルル紀のグレイワッケなどのシルト~粗粒砂岩。山頂は古生代デボン紀の角礫からなる礫岩や砂岩、泥岩などの堆積岩(アイルランドの当該地域の地質図より)。

 

 

登山口駐車場まで

登山口駐車場と山頂までの登山道はよく整備されています。

 

アイルランド空港から(車)

多分参考になさる方はいらっしゃらないと思いますが、真面目に説明っと……

 

ダブリン空港から車で、環状線のM50(€3.10)からN7 (M7、ここまでは幹線で、よく整備されて走りやすいと思います)に乗り、2時間(140km)ほど西に進み、RoscreaでM62(地方道。石垣で囲まれたカーブの多い見通しの悪い道!気を付けてください……)に入り南に進みます。

Templemoreから登山道駐車場まで向かいます。街の中心のスクエア(広場)にはSparなどのスーパーがありますので、ここで食料と水を調達しても良いかもしれません。宿泊施設もスクエアにあります。

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アイルランド唯一の警察学校のあるTemplemore。そのスクエアにあるTown Hall

 

もし登山の前に宿泊をお考えならば、ホテルも良いですが、割安のアットホームなB&Bも良いかもしれません。Bed & Breakfastはアイルランドの民宿です。一般の民家を改装して宿泊施設として提供しており(民泊ではありません)、アイルランドの生活を垣間見ることができるかもしれません。

それと、体を動かす日の朝食はぜひアイリッシュ・フル・ブレックファストで!

ベーコン&エッグにブラックプティング、ソーセージ、ベイクドトマトとソーダブレッド+他にもいっぱい!

ボリュームたっぷりの朝食で、しっかりとエネルギーを体に注入して登山です!

アイルランドの料理はあまりおいしくないですが、これと揚げたてのフィッシュ・アンド・チップスは例外です(ヴィネガーかけてね)!

 

宿泊施設と料理に脱線しましたが、登山口駐車場までの標識はなく田舎道を走りますので、グーグルマップなどのナビを活用した方が良いでしょう。

simカードは、空港や大きな街のショッピングセンターなどのキャリアショップで、10数GBのものを1ヶ月単位の買い切りで、2, 3千円程度で購入できます。

 

 

因みに、アイルランドではイギリスや日本と同様に車は左側通行です。最高速度は高速道路で時速100km~120km、一般道は時速80kmです。街中は50㎞ほどに規制されます。住宅地などは道路の真ん中に速度規制の為のバンプ(減速帯)があります。

また、大きな交差点はラウンドアバウトと呼ばれる環状交差点が一般的です。環状交差点の進入口には "Yield" という止まれに似た標識があります。これは右方向に車がいなければ徐行進入可能、右方向に車があれば停止を意味します。十分気を付けて通行してください。

 

Templemore Stationから(列車)

 

列車で行く場合は、ダブリンのヒューストン駅(ギネス・ビール工場の目の前!)からCork 行きの列車(電車ではありません)に乗ってください。90分ほどで登山口最寄りの駅 Templemore Stationに着きます。

アイルランドには日本のようにタクシーが駅に止まっていませんので、一旦Templemoreの街に向かい、そこから登山口までタクシーで行くのが良いでしょうね。

 

登山後の観光について:Templemoreは小さな町で観光地もあまりないので、登山後は列車に乗って、アイルランド第二の都市 Cork(近くにタイタニック最後の寄港地Cobhがあります、建造地はベルファスト)や、アメリカからの観光客賑わう湖と山のKillarneyに向かうのも良いでしょう。

 

駐車場から山頂まで

駐車場から直登コース(看板のYou Are HereからLittle Rock)を進みました。比高差200mほどですので、ハイキング気分です!油断はダメだけど!

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アイルランドの看板にはアイルランド語も併記されます。

 

春先に咲く黄色のハリエニシダ(地元ではゴーシュ、ファーズといいます。繁殖力が強い為、農家には悩みの種だそうです)の花を見ながらのどかな農道を上がります。

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途中の牧草地には羊が!

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かわええ~(*´ω`*)

 

振り返ると、すでに緑が広がってる!

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バスタブは水呑場? 

 

牧草地から針葉樹林帯を少し歩くと、円塔が見えてきます。

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知合いに車を出してもらいました……(笑)この方は前の塔で待機。
 

塔はフォーリーと呼ばれ、貴族たちが贅沢の為に建てたものです。手前の石は以前の記事にも書きましたが、イギリス統治時代のカトリック弾圧の名残です。

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前来たときは柵なかったような…… 

 

ハード(直登)を進みます

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登山道途中、グロット(洞窟を模した石積みの中のメアリー像)のマリア様が登山者を見守ります。

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グロットは、アイルランドの街や集落に必ずあります

 

あの崖は氷河性堆積物だったような……崖を左(西)から回り込みます。

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頂上の十字架がチラリ 

 

崖を回り込むと、チンネと牧草地!

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久し振りの登山(といってもハイキング)で脚が…… 

 

駐車場から30分ほどで、頂上到着です!

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以前登ったときは、たしか聖パトリックの日(3/17)だったなぁ

 

頂上からの眺め

見よこの眺め!人がごみ……じゃなくて

ジ・アイルランドです(笑)ほんっと、すばらしい!

アイルランドに帰りたい~☘

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山頂から南方の眺め

 

北から時計回り!(上の写真の反対側)

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この景色、癒されます~ ☘☘☘

また登りに行きたいな~

 

ちなみに、上の写真のどれかにアメリカのオバマ前大統領のひいひいひぃぃおじいちゃんの街Moneygall が見えるかもです……在任中に訪れたことがあるそうですよ。

それと、写真中に風車が見えますが、アイルランド再生可能エネルギー開発を意欲的に進めてます(発電量の20%を占める)。しかも、日本よりも地質的に安定しており地震や火山の無い国ですが、原発はありません。

 

おわりに

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山頂のギャップ。

悪魔が齧ったとされていますが、実は、この山の南には悪魔が齧った石を吐き捨てて丘になった場所があります。

その丘の上には、約1000年前にアイルランド全土を統べる王様の居城がありました。

それはまたいつか記事にしたいと思います~(前もそんなことを言ったような、笑)

 

関連記事

cashel.hatenablog.com

信州っていいなぁと思う瞬間

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黄昏の北アルプス松本盆地鉢伏山高ボッチ山山麓)で撮影。

言葉も出ない程に素晴らしい景色でした!(いつものカメラとレンズ。見よう見まねで撮っているので、少しでもその雰囲気が伝わるといいけど……)

 

2枚目の真ん中二つのピークは穂高連峰のはずだけど、どれになるのだろう?

別の日(1月末)にもう少し南から撮った写真で位置関係を確認すると、前穂と奥穂のようです。

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農道で写真を撮ってたのですが、

軽トラが横を通り、怒られるのかなぁと思ったら、わざわざ降りてきて

もっといいところあるぞ!

さらに、

ほら、槍ヶ岳が見えるぞ!(2枚目の写真にちょこっと写っています)

写真はイイよな~と去っていったイイおじさん!(*´▽`*)

ありがとです!今度はおすすめの場所に行ってみよう~♪

 

そうそう、今日は長野と岐阜の間にある「南木曽岳」で面白い経験をしてきました。その話はまたのちほど~

この前買ってきた白馬ビールのIPAを飲みながら~ (@^ ^)/~~~

金太郎を鍛えた山!信州の金時山『大姥山』は鎖場連続! May 16, 2019 【金太郎ゆかりの山①】

みなさんよくご存じの金太郎伝説。

金太郎という名は坂田金時の幼名であり、平安時代前期の源頼光(弟の頼信は河内源氏の祖であり、源頼朝に繋がる)に仕える四天王の一人でした。また、金時豆は金太郎の赤い肌に因んで名付けられたそうですね。

さて、幼いころから怪力で知られた金太郎が、動物たちと相撲の稽古をしていたとされる山と言えば、箱根の「金時山」が良く知られていますね。

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足柄峠足柄山聖天堂のクマに跨りマサカリを担いだ金太郎。大涌谷がまた活発化したようで、噴火警戒レベル2に引き上げられたようですね……(えっ?箱根?訳はのちほど

 

実は、私の住む信州にも金太郎伝説が伝わる山がいくつかあります。

先週はそのうちの一つ。旧八坂村(長野県大町市)にある「大姥山」に、金太郎が育った山がどれくらい険しいか調べるために(笑)登ってきました!(すごかった!)

先日の山姥伝説のこる虫倉山に続き、昔話に出てきそうな里山です!

 

Contents

 

 大姥山登山ガイド

「大姥山」は、比較的新しい火山からなる箱根の「金時山」と異なり、堆積岩(1000万年前以降にこの地にあった海に堆積した地層)からなる山です。その堆積岩が作る山容は標高1,000mほどにも拘らず、鎖の連続する痩せ尾根で険しく、金太郎がここで修業していたことも納得できるほどです。

登山道は鎖場が大半を占めますが、鎖に頼りすぎることなく、細心の注意を払って登ってください。

※以下に続く大姥山の記述は筆者個人の感想です。また季節や気象条件によって、登山道周辺の環境は大きく変動します。登山をする際は、ご自分でもよくお調べになり、十分な装備を整えて楽しんでください!

 

大姥山(おおうばやま) 難易度:★★★☆☆*1 ※急登・連続した鎖場あり!

【所在地】〒381-2424 長野県長野市信州新町左右

【アクセス】安曇野ICから40分(30km)または、長野ICからは45分(38km)ほど。

【山頂標高】1,003m(二等三角点は1,006.4m)

【登山口標高】556m

【コース距離】7.8km (登り:金太郎の散歩道、下り:大姥の散歩道)

【参考コース時間】計4時間30分(休憩含む)

【展望良さ】★★★☆☆ (主に南方面の展望良好)

【山域地質】高府向斜のほぼ軸部に位置する。岩石は新第三紀の小川層の論地部層。砂岩、砂質泥岩、礫岩からなり岩相変化が著しい(1/5万地質図幅「大町」)。

 

  

 

登山ルートのハイライト

「大姥山」のハイライト・シーンは、以下の3つです。

1.大姥神社本宮から続く鎖場の緊張感

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2.奥社の「大穴」の堆積岩が作る造形美

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3.頂上からの北アルプスの眺め(当日雲がかかってましたが…) 

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「登りやすい・楽しめる山」かというと、以下の注意事項や廃屋が多い事を考えると、万人向けの山ではないかもしれません。しかし、北アルプスなどの本格的な山に登る練習として、また地元に伝わる伝承に触れながら登る里山として見るならば、おすすめの山と言えるでしょう。

 

注意事項ですが、鎖場では決して鎖に頼り切らず(一部支点が緩い箇所もありました)、ご自分の手と足をメインに三点支持を心掛け、鎖は補助としてお使いすることをお勧めします(この山に限りませんね)。

また下山ルートに選んだ「大姥山の散歩道」は所々標識が無いまたは分かりづらいので、十分注意して通行してください。

 

登山ルート詳細

登山口から頂上まで

登山口までは、国道19号線沿い大町市八坂の赤土停留所付近のカーブから県道469号線に入ります。金太郎の壁画が目印です。

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県道469号線(右)から国道19号線(奥)。壁画は松本市側から見えます。

 

登山道はいくつかありますが、今回は大姥の滝に向かう林道(県道469号から分岐) の途中にある登山口から登りました。

この登山道から大姥神社の参道まで上がり、参道から金太郎の散歩道を経て大姥山頂上を目指します。

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県道分岐からすぐ右手にある廃屋の手前から、登山道が始まります。

 

結果的にこの登山口は失敗でした…… 入り口から進み100m程で道が無くなりました(汗)。素直に参道を上がるのが良さそうです。参道は車でも上がることができ、数台の駐車スペースもあります。

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写真左下の踏み後が上がってきた道。標識は外されていますね……地形図にはしっかりと出ているのですが…… 舗装道路は参道。

 

参道を上がると程なくして駐車スペースのあるトイレがあります。その先の鳥居をくぐると大姥神社本宮が見えてきます。神社建物奥、向かって左に立っている金太郎の看板から登山道(金太郎の散歩道)が始まります。

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登山道はすぐに鎖の連続となります。垂直に切り立った急斜面ではありませんが、砂岩主体の岩をよじ登ることになります。鎖は新しいですが、頼りすぎないように。

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途中、二人目の金太郎が睨んでます(笑)

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 そして、鎖……

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途中のベンチで一息つき……

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また鎖……(汗)

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何本の鎖があったか忘れた頃に3人目の金太郎が現れ、登山道が分岐します。右が山頂へ。左は金太郎と大姥様が住んでいたとされる「大穴」への道(行き止まり)となります。

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ここまで来たら、金太郎も褒めてくれています(のように見える、笑) 

 

大穴方面に向かうと、途中1ヶ所に鎖がありますが、落ち葉の厚く積もったトラバースする道を進みます。5‐10分ほどで大穴にたどり着きます。大穴には大姥神社奥社があります。

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堆積岩に穿たれたおっきな穴……なぜここに…? 地面は堆積岩からこぼれてきた砂で砂浜のように……山上の砂浜~

上を見上げると、ハチの巣のような穴が無数に。この穴は「タフォニ」といい、成因に関してはまだまだ決着が付いていないようです。

ウィキペディアに挙げられていた文献をざっと読んでみると、塩類による説明が優勢のようですが、いづれにしろ、岩石の表面の一部(結晶や礫など)が剥がれ落ち、物理的・化学的な風化が進み空隙が拡大したもののようですね……

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堆積岩って不思議な模様をつくるなぁ…… 

 

表面の様子を観察すると、堆積学の授業に出てきそうな構造が! 

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左の割れ目に沿って大穴が出来たのかな? おっ!右の礫層が下の砂の層を不整合に覆って…… 浅海化したのかな?

 

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おぉ、クロスラミナが立体的にみえる…!なつかしい(笑) 

 

大穴の堆積構造の観察に満足して、先ほどの金太郎の所まで戻って登山再開。鎖は続くよどこまでも!というくらい(汗)、痩せ尾根&鎖場が連続します。

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多くの鎖はしっかりと固定されていましたが、中には緩いものがあったので、飽くまでも鎖は補助! 

 

もう勘弁して!と言いそうになるころに頂上到着です!

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あら、電波塔が……もしや林道が…? 

 

頂上からの展望は、北は樹林帯で遮られていました。しかし南方面の展望は良好で、北アルプス南部、筑摩山地の山々が見えました!

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北アルプスは雲で覆われ(涙)。右端の里山二つは南鷹狩山と鷹狩山。

 

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雲の狭間から、北アルプス烏帽子岳が !(真ん中のぽこっと突き出た部分)

 

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聖山とたらら山(左)、四阿屋山、美ヶ原方面と京ヶ倉・大城(右端、やっぱり似たような山が左右に)

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 長野市信州新町方面。左奥の三角形のピークは北信五岳の飯縄山

 

頂上から登山口まで

風景を楽しんだ後、「大姥の道」を進み、登山口まで下山します。

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やっぱり林道あった(笑) 

 

分岐の道標がありますが、林道を進んでください。右の写真に来たら、左の山道を登ってください。そのまま林道を下りてしまうと、山の向こうに着いてしまいます。

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私は標識が指し示す斜面を上がりましたが、昔の朽ち果てたアスレチック・コースでした(平均台と書かれた看板がありました)。

 

山道を数分上がると分岐に出ます。「布川峠」方面を目指します。

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三角点も行きましたが、木立に囲まれ見通しが悪かったです。 

 

分岐点を振り返ると、上に続く道が三角点へ、下の道が布川峠です。

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布川峠へは途中崩落部分があるので、100m程の距離の巻き道を通ります。

この大木まではややトラバース気味の登山道。これ以降、稜線を下ります。

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大木の根元には古ぼけた石碑が…… 

 

標識の無い分岐(涙) ええい!と下の道を選ぶと……

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標識は……

 

行きついた先に看板があり、来た道は通行止めでした。全然通れたけど!

ここから「山姥の滝」方面へ、斜面を下ります。この区間から登山口まで、廃屋が点々とみられ、独特な雰囲気があります……(ちょっと不気味です

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この標識の周りには石仏があります。


廃屋が2軒あるところまで下りてきたら、林道になります。

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写真手前にもう1軒あります。 生活感があって人が住んでいるようでした……

 

通行止めの先を進みます……

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車が進入禁止ということなのでしょうね。

 

途中にスギ林が開けたところから、先ほど登った尾根(金太郎の散歩道)と大姥山が見えました。 

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意外となだらか?

 

しばらく進むと舗装された林道に合流し、やがて登山口に到着です。

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おつかれさまです!

 

おわりに:下山後、衝動的に…… 

鎖場を登っている最中に、

「そういえば、箱根の金時山、中学の時に登ったような登ってないような……」

「どっちだっけ?」

下山後、生坂村の「やまなみ荘」に向かっている最中に、

「覚えてないから、登りに行こう!」

お風呂で汗を流した後、長野の山奥から国道19号と20号を辿り、一路箱根を目指すのでした……

 

つづく……(笑)

 

関連記事

cashel.hatenablog.com

 

周辺観光情報

宿泊・入浴施設

道の駅

 

参考文献・ウェブサイト

  • 山域の地質図:加藤碩一・佐藤岱生・三村弘二・滝沢文教(1989)大町地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図幅), 地質調査所, 111p. (リンク産総研地質調査総合センター)
  • タフォニの成因まとめ(英文):Paradise T.R. (2013) Tafoni and Other Rock Basins. In: John F. Shroder (ed.) Treatise on Geomorphology, Volume 4, pp. 111-126. San Diego: Academic Press. (link, ResearchGate)

*1:★1ピクニックレベル、★3丹沢、★5穂高連峰 ※筆者主観。★1でも油断禁物!

田植え始まる『信濃大町』 from 小熊山パラグライダー場 May 15, 2019

信州の春はあっという間に始まり、あっという間に終わります。

梅と桜がほぼ同時に咲いたと思ったら、立夏を迎え、いつの間にか田植えが始まっています。

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私の心の山「爺ヶ岳」 扇沢周辺で登ったことのない沢はありません!(笑)

 

本当は爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳の勇姿を撮ろうと、すっごい久しぶりに仁科山地の稜線上にある「林道小熊黒沢線」を上がりました(仁科山地は鹿島川を挟んで後立山連峰の東隣にある丘陵です。クマ注意!)。

あいにく、上がったころには雲の向こうに山々はお隠れになり……(涙)

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林道は路面状況が悪いので、通行の際にはご注意を!クマにも注意!

 

仕方がないので、パラグライダー場から仁科三湖の木崎湖方面を見下ろすと……

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今まで登ってきた里山たちが一望!!! (魚眼レンズで撮影)

 

おぉ!麓の田んぼが水を張っている!

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稲尾の水田。撮影場所も含め、この辺りはあるアニメ作品の聖地にもなっています

 

いや~見事でした!

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大町市中心部。台状の山は大峰山(昔の火砕流堆積物)。その後方に鉢伏山松本市方面)

 

下る頃には少しだけ鹿島槍ヶ岳が見えました……(涙)今度晴れた日に来よっと!

そして、夏には久しぶりに登る!というか、帰る!釣り尾根の雪渓でギネス冷やす!

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HAKUBA VALLEY 鹿島槍スキー場(あれ、名前変わった?)から鹿島槍ヶ岳(あの辺の雪渓、この時期に途中まで登ったなぁ)

 

おまけ:同日の、雲に隠れる杓子岳と白馬岳。いつもの光景だけど、雲と光がつくる素晴らしい情景に魅せられてしまいます。やっぱり白馬村は他の街には無いものを持っている、私にとって特別な村です……

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よーく見ると、杓子と白馬の間の鞍部に村営の山小屋が!

 

ブログ書きだすと、やめられない、とまらない不思議!

【悪霊退散】思わず驚かずにはいられない!村の守護神『芦ノ尻道祖神』@旧大岡村(長野市大岡地区)その2

いまはむかし、信州の山の中を傷心ドライブしていた時……

山間の曲がりくねった視界の悪い道……

恐る恐る車を走らせていると、眺めの良い展望台が!

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「ふぅ~、つかれた~」

車を停め、一息ついて風景を眺めていると、何やら気配を感じて振り向くと……

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うぁ!!!びっくりsた!!!

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なんぞこれー!!!

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吐いた息を飲み込んじゃいました(笑)

 

なまはげにも劣らないこの迫力あるお顔は、集落の人々が持ち寄った松飾りのしめ縄でつくられた「芦ノ尻道祖神(県指定無形民俗文化財)」です。

芦ノ尻道祖神は、旧大岡村(現長野市)の芦ノ尻地区の外れで悪霊が集落に入ってこないように睨みを利かせています。遊びに来た人も睨まれて、びっくりしますが(笑)

 

毎年正月七日に行われる芦ノ尻の「道祖神祭り」では、無病息災と豊作を祈願して道祖神の神面が新しく作り直されます。集落を守ってくれた前年の神面はどんど焼きで自然にお帰りになられるそうです。

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左:2019年、右:2016年

 

神面は目、鼻、口、眉毛、口ひげ、あごひげ、冠を形作られ、悪霊が集落に入ってこないように威厳を持たせています。新面の他にも、御神酒樽、三つ重ねの酒杯、肴(鯛)がお供え物としてつくられます(お酒好き♪)。

ちなみに、この芦ノ尻道祖神は1998年長野オリンピックの開会式に出演し、全世界・全国的に知られたそうです。お茶の間で開会式を見ていた人も驚いたでしょうね……

 

ところで、信州では道の神様として「道祖神」はよく見られ、珍しくありません。しかし、藁製の迫力のある芦ノ尻道祖神とは異なり、優しいお顔立ちの男女が寄り添う石造道祖神が一般的です。

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松本市今町通りの道祖神 

 

北アルプスからの湧き水を利用したワサビ田が街の方々で見られる「安曇野市」では、500体以上もの石造道祖神が街の人々の生活を見守っているそうです。

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安曇野道祖神フリー素材より)

 

一方で、芦ノ尻道祖神は信州では珍しい「藁製道祖神」です。案内板の説明によると、このタイプの道祖神は東北地方や新潟に多いそうですね。

地域ごとに特色のある道祖神ですが、芦ノ尻道祖神の始まりは明治時代初期に芦ノ尻村で病が流行ったときだそうです。もうこれ以上病が村に入らないように、医者が村の入り口に作らせました。

医者が神頼みとは!匙を投げるほどの流行り病だったのでしょうね。

それにしても、どのような経緯で、この土地では一般的でない「藁製」の道祖神にしたのでしょうか…?

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それは芦ノ尻道祖神のみぞ知る……のかな? (匙投げ……(*´▽`*)

 

毎年変わる個性的なお顔は、見慣れてくると愛嬌があるように思えてきます。

今回は長野市中条の虫倉山登山の帰り、大岡温泉の後に寄りましたが、

また来年も会いに行こうかな~♪

 

参考サイト:

大岡村ホームページトップ

芦ノ尻の道祖神 −長野市 大岡 芦ノ尻− ←お祭りの様子や歴代の道祖神が見られます!

道祖神 – 安曇野公式観光サイト 信州あづみのの旅

道祖神めぐり - 安曇野市公式ホームページ

 

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日本の原風景と北アルプス広がる露天風呂【大岡温泉】:山好きなら行かない理由がない!@旧大岡村(長野市大岡地区)その1

筑北三山は聖山の山麓にある大岡村長野市大岡地区)に、先日の虫倉山登山の帰りに立ち寄りました。

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目的は二つ。

北アルプスを一望できる露天風呂と、

一年ごとにお顔が変わる道祖神に会うためです!

今回の記事では、絶景の露天風呂が楽しめる「大岡温泉」について紹介します。

 

Contents

 

大岡温泉(日帰り入浴温泉施設)

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大岡温泉(日帰りのみ)の情報

泉質:メタケイ酸の単純温泉

効能:疲労回復、健康増進

入浴料金:350円(ボディーソープ、シャンプー&コンディショナー、ドライヤーあり) 

営業時間:10:30~19:00

定休日:毎週火曜日(祝日の場合は営業)、12月31日、1月1日

アクセス:更埴ICから40分(20㎞)または麻績ICから30分(20㎞)

 

眺めの良い駐車場 

「旧大岡村」は北アルプスを一望できる山里です。リゾート開発も聖山周辺に限定され、のどかな風景が広がります。そのおかげで、道も細くカーブが多いです。つづら折りの道路を新緑の中、車を走らせていると棚田の広がる山里が見えてきます。

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その棚田が見える里に「大岡温泉」はあります。大岡温泉は日帰りの入浴施設が一軒あるのみで、宿泊施設はありません。

大岡温泉の駐車場に停めると、雪まだ残る北アルプスを背景に、水が張られた田を地元の方が手作業で慣らしていました。

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大岡温泉外観

そんな日本の原風景と言っても良い光景を眺めながら、ちょっと山小屋風の大岡温泉の建物に入り、350円の入浴料(やすい!)を払って風呂場に向かうと……

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露天風呂

豪快に北アルプスが目の前に広がる露天風呂

衝立も豪快です!(笑)

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内風呂

露天風呂に負けず、ボディーソープ&シャンプー完備の内風呂から見える景色は一幅の絵画のようです……

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十二分に山の景色を楽しんでいると、長湯してしまいました(笑)。しかし、湯加減はは丁度良く、湯当たりしませんでした。

 

お蕎麦と山菜の天ぷら!

長湯していると、虫倉山ではお昼に早く何も食べずに来たので、お腹が空いてきました。

湯上りに「手打ち十割そばと山菜の天ぷら」を!お代は¥972(税込。この辺りはこんなものかな…?)。お蕎麦と天ぷらは言うまでもなく、こごみのマヨネーズ和えも美味しく頂きました!

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お蕎麦の向こうには白馬三山が! 

 

絶景の温泉で山の疲れを落とし、美味しいお蕎麦と天ぷらでお腹も満腹になり、満足満足♪♪♪

 

もう一度、駐車場からの北アルプス

大岡温泉を出て、もう一度駐車場からの景色にさらに満足!!!

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五龍岳~唐松岳~白馬三山~小蓮華岳 

 

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爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳五龍岳~唐松岳 

 

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北葛岳~蓮華岳爺ヶ岳鹿島槍ヶ岳

 

古き良き日本を感じさせる春の風景と残雪の北アルプス

言葉はいりませんね……

 

大岡温泉のおすすめ度は……

おすすめ度:★★★★★×99!(笑、★5×99って、マイナス1は……)

山好きなら絶対行った方がいい!

入浴料金はこの周辺では最安に近いです。この料金帯ですと普通は石鹸やシャンプーは備え付けてありません。ここはドライヤーも置いてあります。

脱衣所は広く、貴重品を入れるためのコインロッカー(100円、使用後戻ってきます)もあります。北アルプスの眺めの良い露天風呂と内風呂は、よく掃除されており清潔でした。お風呂上がりの休憩所も広い畳敷きで快適でした。

素晴らしい温泉でしたが、唯一の欠点は、人里離れた山村にあるため、道路の状況はあまりよくなくアクセスが若干悪いことです。しかし、この温泉は欠点を補ってもあまりある魅力がありました。何度でもリピートしたいですね!

 

次回は……

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大岡村の愛嬌たっぷりの道祖神です。

 

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参考サイト

大岡村ホームページトップ

大岡温泉

魚眼レンズたのし~!【smc PENTAX-DA FISH-EYE 10-17 mm F 3.5-4.5 ED [IF]】

カメラは素人ですが、たまには使っているカメラやレンズのお話も。

写真は、はっきりきれいに山が映ってくれれば良い!くらいにしか思っていません。カメラも写真の事も良く分かりませんので(汗)。現像も自分の好みでやってます(笑)。

それでもファインダーがしっかりしていること、安くても防滴がついていることを基準に、マイナーな Pentax の一眼レフ KP(液晶の映りが…)と K-S2(ともにAPS-C)を使っています。

そんな大した機材は使っていませんので、レンズも安いのを中心に使っています。常用レンズとして、DA16-85mm。そこそこ広い画角 (35mm換算で24.5mm) とはっきりとした映り。いつもこれを付けて山に行っています。望遠端がもう少しあると良いのですが、山域全体も撮りたいのでとりあえず満足してます。

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HD PENTAX-DA 16-85mmF3.5-5.6ED DC WR(広角端で撮影。フレア・ゴーストも私は好きですよ…)

 

広角といえば、去年暮れに買ったお安い魚眼レンズ、猫の変顔撮って(笑)以来使ってないなぁ。これ使ったらもっと広く映せるじゃん!(歪みが気になるけど…)

ということで、手振れ補正強力な KP を買ってからお蔵入りしていた K-S2 に、FISH-EYE10-17mm を付けて山の上の公園で撮ってみると。おぉー!

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smc PENTAX-DA FISH-EYE10-17mmF3.5-4.5ED [IF] (広角端で撮影)

 

16㎜ (35mm換算 24.5mm) では大天井岳までしか映っていなかったのが、蝶ヶ岳のさらに南まで映ってる!もう少し左にずらせば梓川の谷も映りそ~!

現実に無いものが盛大に映ってたり、歪んでいたりですが、広大な画角はいつも見ている世界と違ってなかなか新鮮でした!防湿庫の中でいじけてた K-S2 と魚眼レンズの出番が増えそうです(笑)。

レンズは防滴ではないので、雨の日は気を付けないと……

 

※カメラ2台は防塵・防滴、DA16‐85㎜は簡易防滴です。細かい特徴・仕様などは以下のリンクを参照してください。

 

使用機材:

www.ricoh-imaging.co.jp

www.ricoh-imaging.co.jp

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