山と愛蘭土 ☘ Sliabh & Éire ☘

山の歴史やアイルランドの文化を綴っていきます ☘ シュリーヴ & エア ☘ 

牛伏川フランス式階段工を辿り、晴れの【鉢伏山】へ:100年前の驚くべき山麓の様子とは!?Apr 18, 2019

f:id:Cashel:20190420113323j:plain

松本市中心地を前景に、鉢伏山(左)と高ボッチ山(右)。2019年2月城山公園より南東方向を撮影。山腹に崖の湯断層群(北東ー南西方向)。手前の中山丘陵の右側に牛伏寺断層(北西ー南東)が走り、市中心部に至り新しい河川性堆積物の下に潜在する。

 

長野県松本市の東に、高ボッチ山 (標高1,665m) を従え鎮座する鉢伏山 (標高1,929m)。

その山の名前を知らない地元の方も少なくないようですが、鉢伏山は市の景観をつくる代表的な山です。

手軽に1000m程の比高差の登山を経験でき、私も登山を再開した当初の1月に登りましたが、帰りに脚を痛めてしまいました。今回はそのトラウマを克服すべく再挑戦しました。

再挑戦の最中に、上記の写真のように緑に覆われた現在の鉢伏山とは大きくかけ離れた姿が、100年前の山腹にあることを知りました。

今回の記事では、登山道の様子・眺望と鉢伏山の明治以降の歴史について見ていきます。

※ルート説明や牛伏川砂防事業については自分のメモとしても記してあり、すこし長くなってしまいました。ですので、鉢伏山からの眺望をご覧になりたい方は目次から進んでください <(_ _)>

登山ルート

松本市からほど近い鉢伏山高ボッチ山と共に、長野県中央部、筑摩山地の南部を構成します。

鉢伏山の登山口は、鉢伏山北側の扉温泉と西側の牛伏寺にあります。

今回使った牛伏寺からのルートは、その下部で尾根筋ルートと牛伏川ルートの二つに分かれます(牛伏寺と牛伏川紛らわしいですね…)。

尾根筋ルートは牛伏寺の駐車場が登山口となり、牛伏川ルートは牛伏川いこいの広場駐車場が登山口となります。

この二つのルートは、鉢伏山スカイライン車道出合い直前で合流し一つになり、車道を経て鉢伏山荘で北側から登ってくる扉温泉ルートと合流し山頂に至ります(扉温泉ルートは2016年9月登山済み)。

前回1月の鉢伏山登山では尾根筋ルートを辿りましたが、今回は未踏査の牛伏川を遡上しました。

尾根筋ルートと牛伏川ルートでは、後述するように牛伏川沿いの登山道中間部の状態が悪いことから、整備状態の良い尾根筋ルートをお勧めします。

 

関連記事:

cashel.hatenablog.com

 

ルート概要(牛伏川ルート)

鉢伏山登山口の牛伏川いこいの広場駐車場に設置された看板には、鉢伏山スカイライン車道出合いまでの牛伏寺ルート下部(尾根筋ルートと牛伏川ルート)が記されています。

f:id:Cashel:20190326183033j:plain

コース:牛伏川いこいの広場 (09:05)ー車道出合い (11:00)ー鉢伏山 (12:10-13:30)ー車道出合い (15:00)ー牛伏川いこいの広場 (16:20)

歩行距離:7.2㎞
標準所要時間:登り3h45m、下り2h30m(松本市公式サイト美ヶ原高原ロングトレイルより)
最低標高:979m(登山口)、気温:約10℃(09:00)
最高標高:1929m(山頂)、気温:13℃(13:00)

 

牛伏川ー鉢伏山スカイライン車道出合い

牛伏川ルートの登山開始は牛伏川いこいの広場駐車場から。明治時代の砂防ダムを見ながら林道をしばらく上ります。 

f:id:Cashel:20190419215824j:plain
f:id:Cashel:20190419220032j:plain

牛伏川いこいの広場駐車場(左写真)と、合清水沢出合い(右写真)

 

林道が終わる松建小屋から本格的な登りが始まります。木材でつくられた登山道は所々朽ちており、厚く積もった落ち葉で登山道表面の状態が分かりづらいです。

特に勾配の急な日影沢と地獄谷は、斜面からの落石、登山道の踏み抜きや滑落など細心の注意が必要です。また、鹿よけのネットが登山道にかかり、歩きにくい場面もありました。

f:id:Cashel:20190419220121j:plain
f:id:Cashel:20190419220209j:plain

松建小屋(左写真)と、地獄谷(右写真)。地獄谷は倒木が目立ちます


核心部の地獄谷を抜けると極楽平になります。ここは沢筋が無くなる広い緩斜面の落葉樹林帯で、下流に比べ歩きやすくなります。

しかし、落ち葉が厚く堆積しており登山道が不明瞭となります。足元に気を付けつつ、木に巻かれた目印のテープを見ながら、迷わないように気を付けましょう。

緩斜面をトラバース気味に登ると尾根筋に道は続き、やがて眺めの良い平坦面、地獄谷石切場に出ます。

f:id:Cashel:20190419220349j:plain
f:id:Cashel:20190419220418j:plain

 極楽平(左写真)と、地獄谷石切場からの眺め(右写真)

 

石切場からトラバースして北側の尾根に取り付くと、すぐに尾根筋ルートと合流してブナノキ権現が上部に見えます。

さらに尾根を10分弱登ると鉢伏山スカイラインの車道出合いの広場に着きます。

f:id:Cashel:20190419220524j:plain
f:id:Cashel:20190419220553j:plain

ブナノキ権現(左写真)と、車道出合い(右写真)

 

鉢伏山スカイライン車道出合いー鉢伏山荘ー鉢伏山頂上

鉢伏山スカイラインからは歩きやすい舗装道路となります。眺望(北アルプス南部から八ヶ岳南部まで)を楽しみながら、小一時間進むと鉢伏山荘になります。スカイラインは、冬季閉鎖解除後(5月上旬)に車の通行もありますので気を付けてください。

f:id:Cashel:20190419220906j:plain
f:id:Cashel:20190419220957j:plain

鉢伏山スカイラインから北アルプス南部(左写真)と、鉢伏山荘と鉢伏山頂上(右写真) 

 

山荘から山頂までは広い遊歩道を歩きます。この日は積雪があったので少々時間がかかりましたが、20分ほどで山頂に着きます。

f:id:Cashel:20190419221039j:plain
f:id:Cashel:20190419221103j:plain

遊歩道(左写真)と、山頂直下の展望台(右写真)。奥に御嶽山

 

鉢伏山頂上と地獄谷石切場からの眺望

今回の登山道では、鉢伏山スカイライン以外に、眺めの良いポイントは2カ所ありました。牛伏川ルート最上部の地獄谷石切場鉢伏山頂上です。北アルプス南部の眺望だけで良ければ、石切場で十分でした。因みに、隣の尾根筋ルートや扉温泉ルートはあまり眺めが良くないです(尾根筋ルート下部の鉄塔からの眺めは良いらしいですが)。

ところで私は、移動中は主にスマートフォンのカメラで撮影していますが、眺めの良い所では一眼レフカメラを使っています。

普段カメラは、Pentax KP+DA16-85 (35mm換算24.5-130mm)の組み合わせですが、今回は槍穂のアップを捉えたく、レンズを替えてDA55-300PLM(同換算84.5-460mm)を使って撮影しました。

f:id:Cashel:20190419224848j:plain

松本市市街地南部と北アルプス南部(地獄谷石切場

 

f:id:Cashel:20190419224920j:plain
f:id:Cashel:20190420041734j:plain

石切場から穂高連峰(左写真)と、槍ヶ岳(右写真)。北穂北斜面の切れ込みがえげつない……

 

f:id:Cashel:20190419225010j:plain
f:id:Cashel:20190419224958j:plain

常念岳(左写真、石切場)と、白馬三山(右写真、鉢伏山頂上)

 

松本空港から都道府県警察航空隊ヘリ(A109E)。写真を拡大しても所属や機体名は確認できず…… 尾翼の配色から新潟県警の「はるかぜ」?

f:id:Cashel:20190419225041j:plain
f:id:Cashel:20190419225052j:plain

鉢伏山頂上から新潟県妙高山と警察航空隊ヘリ(左写真)と、浅間山と同ヘリ(右写真)

 

今回望遠レンズを使用してみて、迫力のある山容や警察のヘリを(下手なりに)撮ることができ良かったかなと思うのですが、 もっと引いて山域全体を撮りたい場面が多かったです。ですので、従来の広角寄りのレンズの方が自分としては満足感が得られたかな。

 

 使用機材など:

www.ricoh-imaging.co.jp

www.ricoh-imaging.co.jp

www.ricoh-imaging.co.jp

 

鉢伏山高ボッチ山、どっちがおすすめ?

鉢伏山(1,929m)と高ボッチ山(1,665m)は一つの山塊を成し、鉢伏山スカイライン(5月上旬開通、松本市林道規制情報)で繋がっている為、冬季以外は車で行き来できます。

どちらからも似たような素晴らしい景色が楽しめます。しかし、もし時間的な制約などから、どちらか一方しか行けないとしたら…… 

標高の高い鉢伏山が良いように感じられますが、以下の理由から高ボッチ山をお勧めします。

f:id:Cashel:20190419225118j:plain
f:id:Cashel:20190419225130j:plain

高ボッチ山中央アルプス(左写真)と、高ボッチ山駐車場(右写真)

 

関連記事:

cashel.hatenablog.com

 

牛伏川フランス式階段工と100年前の牛伏川の姿

さて、ここからは牛伏川の砂防事業のお話です。

今回通った牛伏川ルートには、砂防施設としては2例目の国の重要文化財「牛伏川フランス式階段工」があり、ルート上のハイライトの一つとなります。

恥ずかしながら、私はこの階段工しか知りませんでした。林道を登っていくと石積みの流路や砂防ダムが次々に現れ、看板を見ると「1986年?ん?1886年…!100年以上前に造られたのか!」と驚きながら登っていきました(笑)。

f:id:Cashel:20190419221223j:plain
f:id:Cashel:20190419222512j:plain

牛伏川フランス式階段工(左写真)と、明治時代に造られた上部の石堰堤(右写真)

 

下山時に堰堤横に設置された案内板をじっくり見る時間があり、この地域の砂防事業の歴史を知りました。

現在ののどかな様子からは窺い知ることのできない、荒廃した姿と長い砂防の歴史が牛伏川にはありました。

 

牛伏川の砂防事業の歴史

牛伏川(ごふくがわ、うしぶせがわ)の砂防事業は明治時代まで遡ります。

f:id:Cashel:20190419222124j:plain
f:id:Cashel:20190419223217j:plain

松建小屋の看板から、100年前の砂防事業前後の写真。牛伏川の荒廃した様子(左写真)と、空石積みの砂防施設設置後の斜面(右写真)

 

昨年2018年松本市で開催された「牛伏川階段工完成100周年記念行事」の講演内容(後藤、2018)によると、

風化しやすい花崗岩(おもに角閃石花崗閃緑岩)からなる急峻な牛伏川上流域は、江戸時代から刈敷(堆肥)や城下町建設の用材として材木が切り出されていました。また野火による山火事も度々発生し、斜面から植生が失われていきました。

その結果、斜面の荒廃が進み土石流が多発しました。この土石流によって下流地域は甚大な被害に苦しみ、その記録が多く文献に残っています。特に江戸時代後半に災害が多かったようです。

明治政府内務省はこの暴れ川を鎮めるために砂防事業を開始しました(後に長野県が引き継ぐ)。しかし、当初は地元の洪水を防ぐためではなく、下流地域の新潟港の発展のために実施したようです。

砂防事業は戦中も含め断続的に現在まで続いていますが、林道に見られる大規模な空石積みの堰堤や流路は事業最初期に造られ、土石流被害も少なくなりました。

この砂防事業の代表的な建築物である「牛伏川フランス式階段工」は、フランスのデュランス川最上流サニエル渓谷の階段工を基に施工され(1916年、1918年完成)、2012年に国の重要文化財として登録されました。

砂防事業に加え、1996年から林相転換事業が始められました。砂防事業初期に植えられた北米原産のニセアカシアは、痩せ土に強いため森林回復の原動力となりました。しかし、老齢期を迎え倒木が目立ち斜面を荒らすようになりました。

現在、この外来種に替わりコナラなど在来種の植え替えが実施され、防災と生態系の保全を両立した事業が進められています。

f:id:Cashel:20190419223827j:plain
f:id:Cashel:20190419223718j:plain

松建小屋付近の法面工事(左写真)と、林相転換事業概要図(右写真)

 

牛伏川の崩壊地のもう一つの原因? :崖の湯断層群

前述したように、牛伏川の崩壊の原因(後藤、2018)として、

  1. 急峻な地形
  2. 風化しやすい花崗岩からなる地質
  3. 森林の乱伐
  4. 山火事

が考えられています。

2の花崗岩についてですが、すべての花崗岩が風化に弱いというわけではありません。この地域の花崗岩を見ると、北アルプス有明山や燕岳に見られる花崗岩の真砂化*1はあまり確認できず、それほど風化が進んでいるようには見えませんでした。

この地域の地質をあらわした論文(高畑、2015)によると、高ボッチ山西麓に多く見らる「崖の湯断層群」がこの地域にも広く分布しており、花崗岩を切っていることが分かります。

最近の調査・研究で分かったこの断層群によって、地表に露出しある程度風化した花崗岩が広く破砕されることによって、上記の原因と合わせて、崩壊が進んだのかもしれませんね。飽くまでも妄想ですが……

 

cashel.hatenablog.com

 

参考・引用資料

 

おわりに

今までの山行のお陰でしょうか懸念していた脚の痛みもなく、歩いていると汗ばむ陽気のなか半袖で登っていました。

そんな登山日和のもと、落ち葉や土壌の堆積した沢筋の道は、一見すると100年前に荒廃していたことが信じられない程に木々に覆われ、たくさんの動物たちの息遣いが聞こえてきました。明治時代からの先人の知恵と苦労が現在に至り実を結んだ結果なのでしょう。

しかし新たな問題が発生しているようです。先日の茶臼山と同様に、この森でもシカによる食害が深刻なようで、食害除けのネットをたくさん見かけました。

cashel.hatenablog.com

 

災害や環境の問題を一つ解決しても、多くの事象が複雑に絡み合った自然や生態系は予想もしない新たな問題を人間に突きつけます。

これからも人間と自然との知恵比べが続いていくのでしょうね。

f:id:Cashel:20190420015640j:plain

鉢伏山頂上の散策路付近

*1:花崗岩の物理的風化作用の一つ。鉱物の熱膨張率の違いにより、結晶単位でバラバラになり砂礫状の真砂になること。後に化学的風化に進みやすい。

国境の長いトンネルを抜けると・・・【立山黒部アルペンルート】Apr 15, 2019

国境の長いトンネルを抜けると、

f:id:Cashel:20190416131446j:plain

 

そこには、雪と氷に閉ざされた世界が広がっていました。

f:id:Cashel:20190416010339j:plain

 

 

先日の爺ヶ岳の記事を書いている時に、

cashel.hatenablog.com

 

立山黒部アルペンルートが4月15日から全線開通することを知り、

近くを通る用件があったので、ついでにと長野県側の扇沢駅から、

f:id:Cashel:20190416010521j:plain

 

今シーズン、「トロリーバス(左)」から交代した「電気バス(右)」に乗って、

f:id:Cashel:20190416011318j:plain
f:id:Cashel:20190416011632j:plain

 

開通初日の4月15日に、雪と氷だらけの【黒部ダム】を見学してきました!

f:id:Cashel:20190416135336j:plain
f:id:Cashel:20190416123017j:plain

 

以前、黒部ダム周辺には関電から許可を得て自分の車で何度も訪れ、更にその奥地まで潜りこみ、そこから道なき道を歩いていました。ですので、お金を払って行くのに抵抗がありましたが……

f:id:Cashel:20190416122609j:plain
f:id:Cashel:20190416122352j:plain
f:id:Cashel:20190416143633j:plain
f:id:Cashel:20190416193210j:plain

(上部軌道と鹿島槍ヶ岳 

 

登山を再開したので、爺ヶ岳の登山口の視察も兼ねて行ってきました。

f:id:Cashel:20190416143408j:plain
f:id:Cashel:20190416200843j:plain

爺ヶ岳扇沢駅手前の柏原新道から登るのが楽です。6月中に通れるようになります) 

 

しかし当日の天気は、下界は晴れていたのですが、

f:id:Cashel:20190416122845j:plain
f:id:Cashel:20190416200928j:plain

安曇野市から有明山と餓鬼岳)

 

北アルプスは雪雲に包まれ、天気には恵まれませんでした。

f:id:Cashel:20190416122808j:plain
f:id:Cashel:20190416201249j:plain

扇沢駅から爺ヶ岳南稜と、扇沢出合から赤沢岳の稜線)

 

黒部湖駅の駅員さんに聞いたところ、富山県側の天気はさらに悪く、ルート上部の弥陀ヶ原~室堂は運休でした。長野県側からは室堂まで上がれたようです。

f:id:Cashel:20190416201745j:plain
f:id:Cashel:20190416195542j:plain

 

黒部ダムでは天気が目まぐるしく変わり、吹雪いていたと思ったら晴れ上がり、またすぐに雲に閉ざされ……4月半ばですが、冬山の凄さに改めて驚かされました。

f:id:Cashel:20190416012005j:plain
f:id:Cashel:20190416012023j:plain

こんなところ歩いたら凍え死ぬ……至る所雪崩れてるし……やっぱり自分には、冬の登山は低山が合っていると思いました(笑)

そんなことを思いながら、堰堤上の強風に吹き飛ばされそうになりながら凍てつく光景を後にしたのでした。

f:id:Cashel:20190416131557j:plain
f:id:Cashel:20190416012042j:plain

f:id:Cashel:20190416131535j:plain

黒部ダムから黒部川を下ると、白竜峡、十字峡とS字峡を経て、仙人谷ダムと阿曽原温泉小屋、そして欅平に至ります。この「水平歩道旧日電歩道」の全ルートが開通するのは残雪の消える9月頃。難度の高いルートですが、その横には「黒部ルート」が並行します。黒部ルートでは、関電の管理する「黒部トンネル」、「インクライン」と「上部軌道(黒部専用鉄道)」が、黒部ダムから欅平を結びます。これまで年間2000人程度の利用に限定していましたが、2024年から一般開放され、年間1万人程度受け入れるそうです。ここから欅平まで、すこし気軽に行けるようになりそうですね!)

www.chunichi.co.jp

 

翌日16日は快晴だったようですね(涙) 

www3.nhk.or.jp

 

早く雪解けないかな~本格的に登りたい!

f:id:Cashel:20190416124908j:plain鹿島槍ヶ岳南峰から立山剱岳

 

そいえば、こんなの売ってました。知り合いに見せたら苦笑されました(笑)

f:id:Cashel:20190416011736j:plain

「帰れなくなっちゃうよね」@爺ヶ岳 Oct 07, 2016

※今回の記事は、2016年10月に登った爺ヶ岳北アルプス後立山連峰)です。

f:id:Cashel:20190413231220j:plain

 

「帰れなくなっちゃうよね」

ふと声のした方を振り向くと、これから下山しようとザックを背負った女性が少し同情するように私を見ていました。

 

登山客が山談議に賑わっている爺ヶ岳南峰のお昼時、山頂からは絶景が広がり。

 

北アルプスが造った平原の向こう、遥かな雲間に浮かぶ富士山

霞たなびく蓮華岳針ノ木岳、その後ろで槍ヶ岳が天を指す

氷河を山腹に抱き、威風堂々と誇らしげに聳える剱岳立山連峰

 

長らく会っていなかった山々に魅了され…… 

女性の声に気付くと周りの喧騒は消えていました。

二言三言交わしたあと、山頂の絶景を名残り惜しそうに女性は、そろそろ冬支度の始まる種池山荘へ下っていきました。

暫く景色を目に焼き付けた後、私も爺ヶ岳を後にしようと……

忘れていた運動不足の脚の痛みや疲れがどっと蘇る……(笑)

 

f:id:Cashel:20190413231244j:plain

松本盆地を前景に富士山と南アルプス

 

f:id:Cashel:20190413231314j:plain

槍・穂高連峰を背景に蓮華岳針ノ木岳。晩秋の10月、針ノ木大雪渓は残っていません。谷底には立山黒部アルペンルートの信州側の出発地、扇沢ターミナルが見えます。今年は4/15 (月) 全線開通です!今年から扇沢トロリーバスではなく電気バスになりますが。

 

f:id:Cashel:20190413231340j:plain

黒部別山を従え、熱く打たれた鋼のように鋭い岩峰からなる剱岳。実際に山頂は熱変成した閃緑岩から成ります。

 

f:id:Cashel:20190413231406j:plain

剱岳と同様に、現在に至り氷河を残す立山連峰。手前は種池山荘。

 

これらの山に、またいつか登りたい!

深雪に苦戦した【茶臼山@美ヶ原 2,006m】で、熊笹の食害から環境問題を考えた【山行記録】Apr 04, 2019

f:id:Cashel:20190406165346j:plain

 写真:茶臼山から車山気象レーダーと富士山(トリミング)

 

茶臼山、各都道府県に一つは有りそうなありふれた山名……

美ヶ原高原の南にも、この名をもつ山があります。

あまり注目されない山ですが、登山開始標高が高く、スギ花粉に汚染されていません(笑)。

スギ花粉症の私にとって、茶臼山は花粉に悩まされずにこの時期に登れる貴重な低山。

ということで先週行ってきましたが、予想外の積雪に……!(前も別の山で言ってたような…笑)

(毎度毎度同じような写真になりますが、日本アルプスは偉大です!)

 

 

山行ルート概要

2月に美ヶ原高原に登り、周辺の状況を知っていたつもりでしたが、茶臼山ルートは美ヶ原ルートとは様相が全く異なりました。その一つに積雪量の違いがありました。

 

ルートや各種データ

ルート:三城いこいの広場(1,415m)ー広小場ー茶臼山(2,006m)ー百曲がり園地(塩くれ場、美ヶ原台上)ー広小場ー三城いこいの広場

歩行距離:9.2㎞(GPSログ
所要時間:登り約3時間(コースタイム 1:50)、下り80分(同 80分)+稜線部の歩行時間タイムレス(笑)
最低標高:1,415m、気温:約0℃(10:00)
最高標高:2,006m、気温:約0℃(13:00)

写真の案内図では、下側のルートとなります。

f:id:Cashel:20190406165537j:plain

(登山道スタート地点の三城いこいの広場の案内板)

また、美ヶ原観光連盟の美ヶ原観光連盟公式サイト:登山では所要時間の入った簡易マップ (PDF) があります。

さらに、アルプス観光協会サイトでは、松本市の山岳地域も含めた地図・資料が数多く掲載され、美ヶ原地域の詳細なマップ (PDF) も見ることができます。

 

三城から茶臼山頂上まで

登山口から広小場までは、2月の美ヶ原高原登山と同様のルートを進みました。登り始めは2月と比べ雪が少なく、「今回は余裕!」と油断しておりました(笑)。

f:id:Cashel:20190406165546j:plain
f:id:Cashel:20190406165548j:plain

 (左:三城いこいの広場オートキャンプ場内、右:オートキャンプ場からの登山口)

 

f:id:Cashel:20190406165557j:plain

 (閉鎖された無料キャンプ場の「広小場」。まっすぐ行くと茶臼山、左に行くと百曲がりコースを経て美ヶ原高原塩くれ場)

 

f:id:Cashel:20190406165609j:plain

(山の神様に安全祈願を) 

 

「雪が少ないから余裕でしょ!」と、広小場から本格的な茶臼山への登山道を登っていると、徐々に雪が深くなり、スキーのシュプールが。

f:id:Cashel:20190406165604j:plain

(登山道には新しいシュプールが雪の上に。それを踏み抜きながら進んでいると……) 

 

平日だったので、シュプールは先週末のものと思い、登山客は自分以外いないだろうと登っていたところ、人の気配が……!

見上げると登山者がっ!!!

びっくりしたっ!!!

(石を調査している頃は、人に会わないであろう状況で人に会うのが一番怖かった……)

 

その登山者は、私が辿っていたシュプールを残した方で、休憩がてらスキーを片付けているところでした。

「今年は例年に比べ雪が少なく、スキーでは登りづらいので徒歩で登る」とのことでした。私にとっては十分多かったのですが……

 

片付けているところを追い抜いた後は、まったくトレースの無い雪道、というか雪と森林…… 

しばらく木に巻かれたテープを頼りに登っていましたが、だんだんと分からなくなり……

次第に積雪量も膝ほどの深さから、腰まで埋まるほどに……

(先月の高ボッチ山でも同じことが、笑)

今回は天候も良く雪も安定していたので、直登しました(笑、本来は山頂まで斜面をトラバースします)

積雪量がこんなに多いと分かっていたら、積雪の少ない尾根筋を歩いたのですが……

f:id:Cashel:20190406165611j:plain
f:id:Cashel:20190406165617j:plain

(上部斜面は腰まで埋まるほどの積雪量。苦しいけど楽しい!)

 

ゼイゼイ言いながら、深雪の急登を一歩一歩上がり稜線部に到達!

稜線上は先ほど追い抜いた方とは違うシュプールが二つあり(おそらく美ヶ原からの往復)、それ以外のトレースはありませんでした。

f:id:Cashel:20190406165622j:plain

(斜面から稜線に上がった直後。左上が茶臼山頂上) 

 

稜線は雪があるものの歩きやすく、

ようやく頂上に到達!やったー!

f:id:Cashel:20190406165657j:plain

 (茶臼山頂上から南方面の眺望。左から八ヶ岳、富士山、車山と鳳凰三山。前者3つは火山)

 

結局、雪の多さによって2時間弱のコースタイムを、3時間もかかってしまいました。

 

眺望について

茶臼山の展望は北隣の美ヶ原ほど良くありません。とくに北方面は、山頂の森林と美ヶ原によって遮られていました。

しかし、それ以外は東・南方面を中心に素晴らしいものでした!

 

茶臼山頂上からの眺め

東から時計回りに見ていくと、

東側には浅間山(2,568m、富士山よりも高い火山を作っていた時期もあるそうです)。

f:id:Cashel:20190406165707j:plain

 

南側には、南アルプス諏訪湖中央アルプスなど。

f:id:Cashel:20190406165702j:plain

 

そして、鉢伏山(1,929m)。

f:id:Cashel:20190409003453j:plain


さらに西側には乗鞍岳(3,026m、火山)。これより北は展望悪し。

f:id:Cashel:20190409003528j:plain

 

茶臼山ー美ヶ原台上間の稜線部からの眺め

山頂で展望を満喫した後、美ヶ原台上まで雪の稜線を楽しみました(かんじき持ってくればよかった)

茶臼山山頂から稜線部を下ると森林で隠れていた槍・穂高連峰が現れ、その景色の素晴らしさに、ちょっと進んでは写真を撮り、ちょっと進んでは……の繰り返し!

ぜんぜん進みませんでした(笑)。

f:id:Cashel:20190406165710j:plain

 (美ヶ原台上と槍・穂高連峰。左にスキーの方がチラリ)

 

何度見ても槍穂は見飽きない!

f:id:Cashel:20190406165715j:plain

松本市中心部、槍ヶ岳穂高連峰。奥穂は雲の中……)

 

f:id:Cashel:20190409150653j:plain
f:id:Cashel:20190409150737j:plain

(左:台上から王ヶ頭と槍穂、右:台上の美ヶ原高原美術館

 

f:id:Cashel:20190409150754j:plain

(借りシュプールの先には美しの塔が小さく)

 

北斜面と南斜面の積雪量の相違

2月に美ヶ原高原に登りましたが、登山道に殆ど雪がなく快適でした。

cashel.hatenablog.com

 

今回の茶臼山登山では、登りに「茶臼山コース」、下りに美ヶ原台上から「百曲がりコース」を選択しました。この2コースでは、積雪量が大きく異なりました。

前々章で述べたように茶臼山コースは積雪量が多く、稜線直下では腰まで埋まるほどの積雪量。対して、百曲がりコースはちらほら登山道に雪が残るものの、大半は敷石の鉄平石が露出していました。

f:id:Cashel:20190409005132j:plain
f:id:Cashel:20190406165644j:plain

(左:登りの茶臼山コース。右:下りの百曲がりコース。それぞれ進行方向と逆向きに撮ってます)

因みに、百曲がりコースは2月の美ヶ原では登りルートに使いました。

 

この積雪量の違いの原因は?

案内図や地形図をよくよく見ると、

  • 雪の多い茶臼山コースは北斜面
  • 雪の少ない百曲がりコースは南斜面

f:id:Cashel:20190406165632j:plain

(美ヶ原台上の案内板。マップ下部に百曲がりコース。最下部に茶臼山

 

f:id:Cashel:20190406165637j:plain

(美ヶ原台上百曲がり園地から茶臼山。手前が南斜面、茶臼山側が北斜面。積雪量の相違が一目瞭然)

 

この違いに気付けば、積雪量の違いも言わずもがなですね……

4月に入ったとはいえ、標高2000m級の山ではまだまだ気温が低く、日が当たらない北斜面は日中でも氷点下。北斜面に多くの雪が残っていることは十分予想できます。

今回の山行では、この積雪量の違いを考えると、南斜面の百曲がりコースを登り、稜線から茶臼山頂上に至るのが正解だったのかもしれません(でも、雪の中登るのも楽しい!)

(余談ですが、茶臼山コースは全くの不人気でしたが、美ヶ原方面はトレースがたくさんついており、その人気振りが窺えました。さすが百名山!)

 

以前、石の調査をしていた頃は、穴が開くほど地形図を見たり航空写真を立体視したり、時には断面図を描き、調査地域の地形や特徴を把握していました。

しかし、しばらく山に登っていなかったので、いろいろと忘れてしまっていることが多いようです。茶臼山が低山であることも油断に拍車をかけていたようです。

しっかりと下調べをして、安全登山を心掛けたいと思います。

 

おわりに:ラーメンと熊笹の食害

茶臼山頂上で、最近はすっかり定番となったマルタイラーメンを食べていると、先ほどの登山者の方が登ってこられました。

f:id:Cashel:20190406165624j:plain

(左端に浅間山、中央右寄りに荒船山。少し分かりづらいですが、奥の熊笹は茎だけです)

 

少しお話をしましたが、今年は雪が少ない為、山頂の笹が雪から露出し、鹿による食害が広がっているそうです。確かにそう言われてみると、葉がなく茎だけになった熊笹が至る所に……

「年々ハンターも高齢化が進み後継者もいない中、全国的に鹿の数が増えている」とも仰っていました。

登山中は石ばかりに気を取られ、植物に疎い私にとって勉強になるお話でした。

伺ったお話や既知の情報をもとに考えると、人間の影響で鹿を捕食する大型の肉食動物も減少したことによって(と言うよりも、この山域では殆ど存在しない)、従来の生態系のバランスが変化しているようです。加えて、今シーズンの雪の少なさが熊笹の食害につながったようです。

 

今回の山行では、人間の経済活動による影響が雪山にもみられ、眺望を楽しみながらのラーメン、しみじみ考えながら味わいました。

貴重な山頂でのひと時を、見知らぬ人との会話で過ごすのもいいものですね!

(環境問題の観点から食害と表現しましたが、鹿は食べ物を山頂で見つけ食べたに過ぎませんね)

 

ーここからは妄想ー

環境問題は人間から見たもので、地学的な視点からすれば環境問題は存在しない。人間の経済活動も生態系の一部と捉えれば、今回の現象も現在あるべき生態系で発生した現象の一つに過ぎないのかもしれない。だからといって、人間が好き勝手すれば巡り巡って自分の首を絞める環境になってしまうのだろう。現在そうなりつつあるように……

それよりも気になるのは、人間による地層の大規模な生物擾乱。この擾乱は、常に刷新されている日本列島では比較的短期間で消えてしまうかもしれないが、安定陸塊では地球が無くなるまでずっと残るのかもしれない。もしその擾乱を後続の知的生命体や宇宙からの使者(ほんといるのかな?)が見たら、我々人類をどのように評価するのだろうか……

とか、

日本列島の年齢からしたら今見てる山の年齢なんて、人間の年齢と犬猫の年齢の違いくらい差がある。短い寿命の日本列島から見ても、日本アルプスはもとより富士山は一桁も二桁も短い。だから仮初のこの尊い景色を楽しまなきゃ!って、自分が死ぬまであんまり変わらないんだけどw 

目の前の山々の年齢からしたら、人間の寿命なんてさらに四桁も五桁も短い。人間は多勢に無勢だと地球表面に影響を与えるけど、一人一人は蜻蛉のような存在? 地球と比べたら短かく儚い寿命なんだから、この美しい景色を存分に楽しまなきゃね!登山楽しい!

なんて、脱線して妄想するのも、地学的にたのしいものです(笑)

雲間をおりる『天使のはしご』:光と雲が織りなす幻想の鉢伏山 2019.01.10【山行記録】

f:id:Cashel:20190326181943j:plain

写真:天使のはしごに包まれた伊那谷鉢伏山山頂から撮影)

 

2019年の年明けに信州の鉢伏山(標高1,929m)に登ってきました。

当日は晴れの予報でしたが、高曇りで青空は見られませんでした。

そのかわり、雲の切れ間からのぞく太陽の光が幻想的な光景を作り出していました。

ルート概要

鉢伏山は車で上がることのできる山ですが、4月まで冬季閉鎖中ですので、徒歩で上がります。

登山ルートはいくつかありますが、今回は牛伏寺駐車場(標高930m、下図左上)から稜線上をつたい、1610m付近の車道(鉢伏山スカイライン、下図右下)に出て山頂まで上がりました。

f:id:Cashel:20190326183033j:plain

松本市牛伏寺の駐車場脇に登山道があり、ロープの設置された短い急登から始まります。しばらく快適な樹林帯を進むと、獣除けのゲートに着きます。鍵はかかっていないので、通過したらゲートを閉めてしっかりと鎖を巻き付けておきましょう。

f:id:Cashel:20190326181811j:plain
f:id:Cashel:20190326181814j:plain


車道まで、ロープの設置された箇所がいくつかありますが、特に危険な所はありません。当日は一部に積雪がありましたが、ルートの大半は雪がなく快適な状態でした。

f:id:Cashel:20190326181818j:plain
f:id:Cashel:20190326181826j:plain


 ブナノキ権現が見えたら車道まであと少し!

f:id:Cashel:20190326181829j:plain

 

鉢伏山スカイラインからの眺め

車道から山頂まではさらに快適な状態でした。

南方面は重い雲が垂れ込めていたものの、眺望は良好で、中央アルプスや、

f:id:Cashel:20190326181834j:plain

 

南アルプス

f:id:Cashel:20190326181842j:plain

 

富士山などが見え隠れ……天使のハシゴ(薄明光線、チンダル現象)がおりる山々は神々しく……(もっと写真が上手ければ…… (>_<)

眺望を楽しみながら進むと、3㎞ほどの車道もあっという間です。

f:id:Cashel:20190326181847j:plain

 

山頂からの眺め

山頂からはさらに多くの山々を楽しめます!

北アルプスは雲に覆われていたのものの、雲間から見える山々もまた雰囲気があり、山頂からの眺めは絶品でした !

f:id:Cashel:20190326181906j:plain

 

穂高連峰はガスに隠れ……(日が当たってるのは大滝山)

f:id:Cashel:20190326181914j:plain

 

常念岳。真ん中のガスが少しかかった山ですが、なんとか見えるかな?

f:id:Cashel:20190326181923j:plain

 

北アルプス南部はガスってましたが、そのかわり、後立山連峰は顔を出してました!

f:id:Cashel:20190326181918j:plain

 

他にも美ヶ原、

f:id:Cashel:20190326181900j:plain

 

北信五岳

f:id:Cashel:20190326181856j:plain

 

御嶽山など、曇りにもかかわらず、多くの山々を見ることができました。

f:id:Cashel:20190326181946j:plain

 

おわりに

晴天の眺望も素晴らしいですが、高曇りの太陽と雲が織りなす幻想的な情景もまた雰囲気があって良いものですね!

ですが、この日は気温が低く(-10℃~-5℃?)風も強かったので、とにかく寒かったです。

また、登山当日の1月から2月は積雪が少なかったのですが、3月初めの降雪によって積雪が一気に増えた可能性があります。

ただ、先日の隣の高ボッチ山登山では雪はかなり解けていたので、それほど積雪に悩まされないかもしれません。

これから登られる方は、いづれにしろ装備はしっかりとした方が良さそうです。

私は、晴天の鉢伏山は未経験ですので、次回の鉢伏山は暖かくなってから晴天の日を狙ってみようと思います。

 

関連記事

 

以下、鉢伏山から見える山の山行記録。

cashel.hatenablog.com

cashel.hatenablog.com

cashel.hatenablog.com

高ボッチ山にボッチ登山 2019.03.24:「山頂からの絶景」と「長野県防災ヘリ訓練の様子」【山行記録】

f:id:Cashel:20190325174513j:plain

写真:高ボッチ山山頂展望台から

 

信州の高ボッチ山(1,665m)に単独で登ってきました! (ボッチ登山バンザイ!笑)

登山当日の空は晴れ渡り、山頂からの眺めは素晴らしいものでした!

また今回の山行では、長野県防災ヘリの訓練に偶然出会いました。

 

 

先週と今週の高ボッチ山

実は先週、高ボッチ山にトライしました。しかし、悪天候のため、頂上を目の前に引き返してきました……

cashel.hatenablog.com

 

先週は久し振りの深い雪にワクワクしたのですが、やはり山頂からの眺めが見られなかったのは大きな心残りでした……

近いうちにリベンジを!と思い、天気予報とにらめっこしていると、日曜日に晴れのマークが!

日曜日の朝方は高ボッチ山には雲が掛かっていましたが、周囲は晴れているので登山を開始しました。

先週の暖かさで高ボッチ山の雪もだいぶ解け、雪で歩きづらかった登山道も概ね快適でした。天候も快方に向かい、コースタイム(3時間弱)通りに山頂に到達できました!

リベンジ成功です!

f:id:Cashel:20190325235934j:plain
f:id:Cashel:20190325174916j:plain

写真:先週(左の写真。牧場脇の登山道から)と、今週(右の写真。牧場から。一番高い電波塔の左にヘリ、後述)の積雪比較*1

ちなみに、北方の鉢伏山方面から高ボッチ山をみると、以下の写真のようになります。

f:id:Cashel:20190326043326j:plain

写真:中央に高ボッチ山の電波塔と牧場。無料駐車場もほぼ同じ位置に。左手に高ボッチ山山頂展望台。右の高い山脈は中央アルプス。(2019.01.10、鉢伏山スカイラインから撮影) 

 

今回も先週とほぼ同じルートを進みましたが、ルート上部では積雪期限定の雪に覆われた牧場を通過しました。

快適&素晴らしい眺めでした!チェーンスパイクとかんじきを持って行ったのですが、全く使いませんでした。

f:id:Cashel:20190325230619j:plain

 写真:頂上手前の牧場からの北アルプス松本盆地の眺め

 

高ボッチ山からの眺め

高ボッチ山の主な展望スポットは、二つあります。山頂の展望台からは南方面、駐車場からは北方面の眺めが楽しめます。

ちなみに、駐車場があることからお分かりのように、冬季閉鎖以外は車で簡単に上がれます。

f:id:Cashel:20190325181242j:plain

 

山頂展望台から南方面

山頂展望台からの眺めは、インターネット上に掲載された写真愛好家の方達の綺麗な作品でよく知られるようになりました。

最近は、アニメ「ゆるキャン△*2や「君の名は」でさらに有名になったようですね。

 

 

諏訪湖越しの八ヶ岳、富士山、南アルプスは、山好きなら一度は自分の目で見るべき景色の一つだと思います。

f:id:Cashel:20190325173817j:plain

写真:左から八ヶ岳、富士山、諏訪湖南アルプス。モヤがかかり、富士山が霞んでます……

 

f:id:Cashel:20190325173829j:plain

写真:望遠で寄ってLightroomで現像すると、ようやく見えました…!

 

f:id:Cashel:20190325175127j:plain

写真:左から南アルプス伊那谷中央アルプス。丹沢の塔ノ岳*3を除き、北アルプス以外の山は数えるほどしか行ってないので、今年は行ってみたいです!

 

駐車場から北方面

山頂展望台からは南方面の山々が楽しめますが、駐車場からは北方面の山々を楽しむことができます。

f:id:Cashel:20190325231047j:plain

写真:広い無料駐車場からは北アルプスが望めます。

 

通常期ですと車を下りた直後に、北アルプス松本盆地が眼前に広がります!(久し振りに車で行こうかな~)

f:id:Cashel:20190325173834j:plain

写真:北アルプスはあいにく雲がかかっていましたが、帰り際に……(「おわりに」の写真へ)

 

長野県消防防災ヘリコプター

話は少し戻りますが、山頂にあと少しの所で、何やらバラバラとヘリコプターの音が近づいてきました。

通り過ぎるのかと思っていましたが、電波塔にゆっくりと近づくと、ホバリング。よーく見ると、ヘリに人がぶら下がっていました。

機体カラーから、長野県消防防災のヘリ(以下、防災ヘリ)でした。

防災ヘリの訓練の様子

防災ヘリは一昨年の事故後、活動を休止していました。昨年から訓練・救助活動を再開したようで、今回もその訓練の一つだったようです。

f:id:Cashel:20190325173805j:plain

写真:電波塔右に小さく機影が……

 

カメラで寄ってみると、負傷者を救助する訓練だったようです。

f:id:Cashel:20190325224140j:plain
f:id:Cashel:20190325174200j:plain

写真:訓練現場は駐車場付近。背景の斜面は鉢伏山

 

小一時間くらい訓練は続きました。私が山頂展望台に移動した後、こちらに旋回して来ました。

f:id:Cashel:20190325173820j:plain

写真:山頂展望台から八ヶ岳と防災ヘリ 

 

f:id:Cashel:20190325174154j:plain

写真:山頂展望台から防災ヘリ。機体にJA6776と長野県の文字が確認できます。

 

長野県の山岳救助ヘリ

ところで、長野県にはヘリコプターを使って山岳救助をする公の団体が二つありました。

今回のヘリは、消防防災航空センターのヘリでした 。県警の救助ヘリ2機は現在も稼働中ですが、防災ヘリは山岳救助を実施しておりません。

その原因として2年前の事故があります。

 

後立山連峰の遭難事故急増中

話がそれますが、北アルプス後立山連峰の遭難事故が相次いでいます。

www.shinmai.co.jp

www.nbs-tv.co.jp

 

今年に入り、後立山連峰では3月24日までに13件+1件?(3/25鹿島槍)の遭難事故があり、例年に比べ急増しているそうです(長野県内の山岳遭難発生状況(週報)/長野県警察)。

幸いにも先週末の唐松岳の事故は無事救出されたようです。県警ヘリが活躍したのかもしれませんね。鹿島槍ヶ岳の遭難(?)も、無事に見つかると良いのですが……

 

遭難事故は自分にも家族や他人にも多大な犠牲が出ることがあります。遭難の原因には様々なことが考えられますが、まずは遭難しないこと。自分の力量や天候などあらゆる状況を見極めて、危険だったら勇気をもって引き返すことが大切だと思います……

そして、登りたい気持ちを抑制する勇気も大切ですが、地学を勉強して実感しましたが、自然に対して人間は無力です。勇気とは相反するかもしれませんが、山に対して傲慢にならず憶病になることも大切だと、私は自分に言い聞かせています……

また、田部井淳子さんが著書で仰ってました、「山は逃げない」と……気持ちに余裕を持って登りましょう!(……と自分自身に言い聞かせる)

 

ところで、唐松岳ゴンドラリフトでルート下部をショートカットして、気軽に本格的な冬山を楽しむことができます。この手軽さから冬季でも多くの登山者に登られており、例えばはてなブログの有名ブロガー様の記事から、その人気ぶりが窺えます。

moognyk.hateblo.jp

こちらのブログ様は、登山や山道具の良質な記事を参考にさせて頂いております。この方の記事を読ませて頂くと、私も唐松岳を冬に登りたいというワクワク感が募ってきます。が、装備・力量とも不足していますので、まずは今夏の唐松に久し振りに行く予定です!

 

長野県防災ヘリの墜落事故(2017.03.05)

話を元に戻します。

2年前の2017年3月、高ボッチ山の北に位置する鉢伏山北斜面で痛ましい事故が起こりました。

当時、長野県消防防災航空センターは1機のヘリコプター「アルプス」を所有していました。

3月5日に松本空港を離陸したこの防災ヘリが、訓練フライト中に鉢伏山松本空港東12㎞程)に墜落しました。事故の結果、搭乗員9名すべてが帰らぬ人となりました。

f:id:Cashel:20190325190847j:plain

写真:高ボッチ山から鉢伏山(1,929m)。事故は鉢伏山山頂の向こう側で発生しました。

 

事故等の資料 

www.youtube.com

 

防災ヘリ再開に向けた取り組み

この事故を受けて長野県は、以下のように、防災ヘリ活動再開に向けた取り組みを進めています。

 

長野県の防災ヘリ再開方針

長野県危機管理消防課は、2017年11月に防災ヘリの活動再開に向けた方針を策定し実施しています。

 

昨年から今年の再開に向けた流れ

事故から1年となる2018年3月に、長野県は民間航空会社からヘリコプターをリースし、訓練を重ねています。

www.sankei.com

www.tom-star.com

 (リース直後の様子:はてなブログのブロガー様の記事)

 

そして、2018年5月に火災防ぎょ活動、救急活動、災害応急対策活動を再開し、同年9月から救助活動(山岳救助以外)を再開しました。

さらに、これから長野県警の山岳救助ヘリ県のドクターヘリとも連携していくようです。残念ながら現在のところ、防災ヘリは山岳救助を実施していませんが、今回の訓練現場を見ると再開するのかもしれませんね。

 

おわりに

防災ヘリが松本空港に帰った後、お昼を食べて山頂の景色をしばらく楽しみました。

この日の山頂の気温は氷点下4度と少し低かったものの登山日和。誰もいない山頂の高所からの眺めを独り占めできました(まさに高ボッチ、笑)。

いつまでもいたい気分でしたが、後ろ髪を引かれつつ、防災ヘリが着陸した松本空港を見ながらゆっくりと下山しました。

f:id:Cashel:20190326013509j:plain

写真:松本空港穂高連峰。山行中ずっと雲に隠れていた穂高連峰……ほんの一瞬、前穂高岳が顔を出してくれました!

 

安心して楽しく安全に登山ができるのも、山の整備をされている方達や、こうやって救助の訓練をされている方達のお陰です。本当にありがたいことだと思います。

防災ヘリや県警ヘリを運行されている方々は、今後も事故の無いよう訓練・救助活動を頑張ってほしいと思います!(そして、ゆくゆくは防災ヘリも山岳救助を再開してほしいですね!)

さて、東京では桜の開花宣言が出され、信州ではようやく梅が咲きだし暖かくなってきました。そろそろ冬季閉鎖も解除されるので、次回の高ボッチ山は車で上がって夜景を撮りたい(練習したい)と思っています。

次はどこの山に行こうかな~♪

*1:撮影地点が違いますが、同じ電波塔です。電波塔から数100m歩くと頂上展望台です(脚がすっぽり埋まる中、吹雪の行軍は遠慮します……)。

*2:登山再開の理由の一つで、4周見て今回の山行です(笑)作中のそれぞれのキャンプ場の再現度は素晴らしく、またBGMはアイルランド音楽を意識しており、おすすめです!ただし、高ボッチ山にはキャンプ場はありません。高ボッチ山周辺は『八ヶ岳中信高原国定公園』の一部ですので、キャンプ場以外では基本的に幕営できません。キャンプ目的の高ボッチ山観光はご注意を!

*3:神奈川県丹沢山塊の塔ノ岳は、保育園から高校時代まで私のホームグラウンドでした!自分の中では、北アルプス爺ヶ岳と共に一番思い出深い山の一つです。馬鹿尾根(大倉尾根)や表尾根また行きたいな~!駒止茶屋とか花立山荘(あそこのロームの急坂は階段無くて滑って恐怖だった、笑)、それに中学時代友達と一緒に行った鍋割山荘どうなってるんだろう?山荘で出会ったおばさん元気かな~?

【山行記録+山の形成史】高ボッチ山 (1665m) on Mar 17, 2019:ダイダラボッチの吹く息に阻まれ、あえなく撤退……

f:id:Cashel:20190320015101j:plain

写真:隣の鉢伏山 (1929m) からの眺め(20190110 撮影)。今回は高ボッチ山山頂からの景色は撮れませんでした…

 

今回登った山、高ボッチ山は、日本有数の富士山のビューポイントです。

ここ10年程でしょうか、写真愛好家の方たちの間で高ボッチ山は人気撮影スポットになったようです。

彼らが撮影した諏訪湖越しの富士山の美しい写真がインターネットを中心に紹介されるようになり、高ボッチ山は多くの人に知られるようになりました。

そのおかげもあってか、最近は人気アニメ作品(君の名は、ゆるキャンなど)でも取り上げられるようになりました。

最近注目を集める高ボッチ山へ久し振りに行ってみようと、セント・パトリックス・デイ(3/17)に初の登山に挑戦してきました。しかし、悪天候のため山頂直下で撤退してしまいました……

今回は、高ボッチ山の特徴や登山道、そして高ボッチ山がどのようにできたのか紹介していきます。

 

高ボッチ山とは

標高1665mの高ボッチ山は、長野県塩尻市岡谷市の境にあります。高原状のなだらかな山容を持ち、登山口からの比高差も600m程度と小さく、比較的気軽に登れる山です。

f:id:Cashel:20190320142038j:plain

写真:中央が高ボッチ山。左端のピークは鉢伏山。北から撮影(右手が西方向)。

 

また、春から秋にかけては自動車で容易に頂上まで登ることができ、気軽にレンゲツツジハクサンフウロなどの高山植物と共に、日本を代表する山々の景色を楽しむことができます。

 

高ボッチ山の地形的特徴と名前の由来

高ボッチ山の頂上は平原状で、東斜面とは対照的に松本盆地側の西斜面は緩やかです。西斜面だけ見ると火山的な様相ですが、火山体を残す程新しい火山(例えば、八ヶ岳御嶽山などの第四紀火山)ではなく、頂上付近は1000万年前くらいの比較的古い堆積岩や火成岩からなります。

幾つかある高ボッチ山の名前の由来の一つに、巨人のダイダラボッチ伝説があります。

私の妄想ですが、ダイダラボッチ高ボッチ山の平らな頂上に腰かけて富士山を眺めていた時に、眺めの良さに驚き転げ落ちて、なだらかな西斜面が出来たのかもしれませんw

冗談はさておき、後半で簡単な山の成立ちについて述べますね。

 

山行ルート

日時:2019年3月17日

ルート:ブリーズベイリゾート塩尻かたおか(旧:アスティかたおか)>高ボッチ牧場>撤退同ルートで下山

歩行距離:約10㎞

所要時間:登り約4時間(コースタイム 2:50)、下り約3時間(同 1:50)

最低標高:1015m、気温:-4℃(6:30)

最高標高:1610m、気温:1℃(11:00)

[http://:title]

ヤマレコから引用: 登りのルートだけ表示。下りも同じルートです。(ヤマレコはまだ使い始めで設定が良くわからないので、正しく表示されないかもしれません…)

 

ルート説明

ブリーズベイリゾート塩尻かたおか(旧:アスティかたおか、標高1015m付近)の駐車場奥の登山口から山頂を目指しました。

f:id:Cashel:20190320144925j:plain
f:id:Cashel:20190320144947j:plain

写真:マイクロバスの奥(左の写真)に隠れている白い平屋の建物の手前に登山口があります(右の写真)。


麓はなだらかで歩きやすかったのですが、徐々に倒木と雪が増え、踏み後もなくなり、登山道が分かり難くなっていきました。

f:id:Cashel:20190320145009j:plain

写真:登り始めの登山道の様子

 

中腹から徐々に雪が深くなり、、、 

f:id:Cashel:20190320145055j:plain

写真:1175m付近の林道(写真後)から登山道分岐

 

自分の足跡も深くなり始めます。

f:id:Cashel:20190320145128j:plain

写真:1265m付近の林道から登山道分岐(左右)

1400m付近の鉄塔から数日前の足跡(単独)があり、稜線に広がる牧場(1510m)へと続き、積雪期ルートを辿っていました。

しかし今回は稜線付近が吹雪いていたので、通常ルートの樹林帯の中を進みました。

山頂に近くなるにつれて脚が完全に埋まるほどの積雪で踏み後もなく、登山道が完全に隠れていました。

深い雪の中ルートを注意深く見極めながらの行軍でしたので、登り3時間弱の所を4時間程かかりました。

(登山道以外に巻かれた赤テープが所々にあり惑わされました……おそらく林業関係の方が、森林管理の為に木に巻き付けたのでしょう……

f:id:Cashel:20190320145211j:plain
f:id:Cashel:20190320145227j:plain

写真:徐々に雪が深くなります(左:1490m、右:1530m)
 

残念なことに、頂上は風が強く吹雪いていました。ゴールまで後少しでしたがやむを得ず撤退しました。

f:id:Cashel:20190320145242j:plain

写真:1610m付近。あとちょっとで頂上ですが、ここからは吹きさらしのルート……

 

この冬は近くの山に登っており(1月に鉢伏山、2月に美ヶ原高原)、雪が少ないことを確認していました。

cashel.hatenablog.com

 

今回も少ないだろうと思っていましたが、予想外に雪が深く時間がかかってしまいました。3月初旬の降雪で積雪量が大幅に増えたようです。

もしかしたら、気まぐれなダイダラボッチが吹いた息のせいかもしれませんw

近いうちに、様子を見てリベンジしたいと思います!

 

おまけ

登山中に鹿の群れを見かけました。フレーム外にも数頭おり、10頭くらいの群れでした。

f:id:Cashel:20190320145029j:plain

 

下山時に、自分の足跡やその脇に動物の足跡がついていました。

f:id:Cashel:20190320151247j:plain
f:id:Cashel:20190320151313j:plain

写真:自分の足跡の中に鹿の足跡(左)。タヌキ?が自分の足跡の横に(右)。

 

地質概説 

ここからは、高ボッチ山の成立ちについて見ていきたいと思います。まず、高ボッチ山は、糸魚川ー静岡構造線の東側、フォッサマグナの西端に位置します。

http://www.city.itoigawa.lg.jp/secure/7636/uemura-fm2.jpg

出典:フォッサマグナミュージアム

図:高ボッチ山は「ナウマンフォッサマグナ」の「の」付近にあります。

 

日本列島は約2500万年前からユーラシア大陸から分離して、およそ1500万年前頃に日本列島の原型が出来たと考えられています。

日本列島が出来た時、東北日本西南日本の間には海がありました。この海がフォッサマグナの最初の姿です。

 

高ボッチ山の成立ち

高ボッチ山はそのころから徐々に出来上がっていくのですが、専門家の研究によると、大まかに以下の段階を経ているようです。

  1. 1500万年前から数100万年前、フォッサマグナの海が徐々に陸化し埋め立てられ、現在の高ボッチ山の地層を作った(熊井他 1997)。
  2. 約100万年前、飛騨山脈が隆起し始める頃、松本盆地は堆積・浸食によって平原状の地形を作った(熊井他 1997)。
  3. 松本盆地東側において、数10万年前に活動を開始した断層活動によって、高ボッチ山が隆起した(熊井他1997、高畑 2015)。

以上、1000万年の時を経て堆積>浸食>平原化>隆起によって、頂上が平らな高ボッチ山が出来たことが窺えます。また、このような地形を隆起準平原とも言います。

先月登った美ヶ原高原は100万年ほど前の溶岩台地です。同じような平坦な頂上でも、隆起準平原高ボッチ山とは成因が異なり、面白いですね!

 

ところで、記事の最初の方で、ダイダラボッチが転がったことで西斜面がなだらかになったと妄想しました。地質学的にこのことを考えてみると、、、

上記の3段階目の断層が高ボッチ山西麓に広くみられる(高畑 2015)事が確認されています。

この西麓の断層によって斜面が破砕・崩壊し優先的に侵食されたことによって、火山のような緩やかな斜面を作ったのではないかと思います。

真偽の程は……ですが、この緩斜面のお陰で、私の街からでも南アルプスが見えるのは嬉しいことですw

f:id:Cashel:20190320152838j:plain

 写真:アルプス公園から南アルプス

引用文献

熊井久雄・渡辺義人・沖野外輝夫・藤原正男・荻原敬三・飯田実(1997)アーバンクボタ, No.36 諏訪湖.

高畑萌子(2015)松本盆地南東部,高ボッチ山西麓に発達する"崖の湯断層群", 地球科学 69巻 1号 p.31-45.

参考文献

平朝彦「日本列島の誕生」岩波新書

藤岡換太郎・平田大二編著「日本海の拡大と伊豆弧の衝突ー神奈川の大地の生い立ち」有隣新書

参考にしたウェブサイト

高ボッチ高原の紹介塩尻市観光総合案内)

高ボッチの名前の由来について国立国会図書館、レファレンス共同データベース)

諏訪湖の中央構造線大鹿村中央構造線博物館)

糸魚川ー静岡構造線の地震発生確率(政府、地震調査研究推進本部