【登山@アイルランド】悪魔がかじった山 『Devil's Bit Mountain』は地平線まで緑の広がる大展望!April 2016
ブレクジット問題でとうとう首相が涙の退陣をすることになった混迷のイギリス。
そんなイギリスをかつて宗主国とし、第二次世界大戦後に独立した愛蘭土(アイルランド)。
先週の離婚条件緩和に関する国民投票では、80%以上の賛成となりました。僅差で離婚賛成が上回った20数年前の国民投票と比べると、敬虔なカトリック国であったアイルランドも世界標準の波にさらされているようです。近年では中絶や同性婚などが国民投票で認められましたね。
私が初めて訪れた時のアイルランドから確実に変わりつつあるようです。
なんて考えていたら、最近は山の記事ばかりで、私の愛してやまないアイルランドの記事が少ないなぁ……
ということで、
伝説級のパブでの伝統音楽の演奏や唄に感動し、知り合いのおじさんにウィスキーなみなみ一杯の刑を何度もくらった夜(笑)の翌日に登った、アイルランドの山のお話でも!
週に一回しか開かないパブ。そこでは夜な夜な伝統音楽の演奏が繰り広げられ、その評判は全国に……
Contents
"Devil's Bit Mountain" 登山ガイド
このブログを始めたばかりに記事にした "Devil's Bit Mountain"(悪魔に齧られた?齧った?山)。
アイルランドの聖人と悪魔の伝説が残るこの山は、私にとって一番馴染みのあるアイルランドの山です。
「悪魔が齧った山」は、アイルランド島中央部から少し南に下った牧草地広がる平原に、緩やかに起伏する山。
悪魔が齧ったかのようなギャップが山の頂きに残るこの山に、ちょっと二日酔い気味の3年前、久し振りに登りました。
Templemore 郊外から撮影
『Devil's Bit Mountain』(でびるず・びっと・まうんてん) 難易度:★☆☆☆☆
【所在地】Glenreagh, Co. Tipperary, Ireland
【アクセス】車:ダブリン空港からM50>N7 (M7) >N62経由で2時間30分(160㎞)。列車:最寄り駅 Templemore Station から徒歩2時間(10㎞)……
【山頂標高】478m
【登山口標高】250m
【コース距離】5㎞弱
【参考コース時間】1時間30分ほど
【展望良さ】★★★★★×100! (大きな十字架が立つ山頂からは、緑の牧草地が地平線までずーっと広がります!40 shades of green~♪)
【山域地質】山腹は古生代シルル紀のグレイワッケなどのシルト~粗粒砂岩。山頂は古生代デボン紀の角礫からなる礫岩や砂岩、泥岩などの堆積岩(アイルランドの当該地域の地質図より)。
登山口駐車場まで
登山口駐車場と山頂までの登山道はよく整備されています。
アイルランド空港から(車)
多分参考になさる方はいらっしゃらないと思いますが、真面目に説明っと……
ダブリン空港から車で、環状線のM50(€3.10)からN7 (M7、ここまでは幹線で、よく整備されて走りやすいと思います)に乗り、2時間(140km)ほど西に進み、RoscreaでM62(地方道。石垣で囲まれたカーブの多い見通しの悪い道!気を付けてください……)に入り南に進みます。
Templemoreから登山道駐車場まで向かいます。街の中心のスクエア(広場)にはSparなどのスーパーがありますので、ここで食料と水を調達しても良いかもしれません。宿泊施設もスクエアにあります。
アイルランド唯一の警察学校のあるTemplemore。そのスクエアにあるTown Hall
もし登山の前に宿泊をお考えならば、ホテルも良いですが、割安のアットホームなB&Bも良いかもしれません。Bed & Breakfastはアイルランドの民宿です。一般の民家を改装して宿泊施設として提供しており(民泊ではありません)、アイルランドの生活を垣間見ることができるかもしれません。
それと、体を動かす日の朝食はぜひアイリッシュ・フル・ブレックファストで!
ベーコン&エッグにブラックプティング、ソーセージ、ベイクドトマトとソーダブレッド+他にもいっぱい!
ボリュームたっぷりの朝食で、しっかりとエネルギーを体に注入して登山です!
アイルランドの料理はあまりおいしくないですが、これと揚げたてのフィッシュ・アンド・チップスは例外です(ヴィネガーかけてね)!
宿泊施設と料理に脱線しましたが、登山口駐車場までの標識はなく田舎道を走りますので、グーグルマップなどのナビを活用した方が良いでしょう。
simカードは、空港や大きな街のショッピングセンターなどのキャリアショップで、10数GBのものを1ヶ月単位の買い切りで、2, 3千円程度で購入できます。
因みに、アイルランドではイギリスや日本と同様に車は左側通行です。最高速度は高速道路で時速100km~120km、一般道は時速80kmです。街中は50㎞ほどに規制されます。住宅地などは道路の真ん中に速度規制の為のバンプ(減速帯)があります。
また、大きな交差点はラウンドアバウトと呼ばれる環状交差点が一般的です。環状交差点の進入口には "Yield" という止まれに似た標識があります。これは右方向に車がいなければ徐行進入可能、右方向に車があれば停止を意味します。十分気を付けて通行してください。
Templemore Stationから(列車)
列車で行く場合は、ダブリンのヒューストン駅(ギネス・ビール工場の目の前!)からCork 行きの列車(電車ではありません)に乗ってください。90分ほどで登山口最寄りの駅 Templemore Stationに着きます。
アイルランドには日本のようにタクシーが駅に止まっていませんので、一旦Templemoreの街に向かい、そこから登山口までタクシーで行くのが良いでしょうね。
登山後の観光について:Templemoreは小さな町で観光地もあまりないので、登山後は列車に乗って、アイルランド第二の都市 Cork(近くにタイタニック最後の寄港地Cobhがあります、建造地はベルファスト)や、アメリカからの観光客賑わう湖と山のKillarneyに向かうのも良いでしょう。
駐車場から山頂まで
駐車場から直登コース(看板のYou Are HereからLittle Rock)を進みました。比高差200mほどですので、ハイキング気分です!油断はダメだけど!
春先に咲く黄色のハリエニシダ(地元ではゴーシュ、ファーズといいます。繁殖力が強い為、農家には悩みの種だそうです)の花を見ながらのどかな農道を上がります。
途中の牧草地には羊が!
かわええ~(*´ω`*)
振り返ると、すでに緑が広がってる!
バスタブは水呑場?
牧草地から針葉樹林帯を少し歩くと、円塔が見えてきます。
知合いに車を出してもらいました……(笑)この方は前の塔で待機。
塔はフォーリーと呼ばれ、貴族たちが贅沢の為に建てたものです。手前の石は以前の記事にも書きましたが、イギリス統治時代のカトリック弾圧の名残です。
前来たときは柵なかったような……
ハード(直登)を進みます
登山道途中、グロット(洞窟を模した石積みの中のメアリー像)のマリア様が登山者を見守ります。
グロットは、アイルランドの街や集落に必ずあります
あの崖は氷河性堆積物だったような……崖を左(西)から回り込みます。
頂上の十字架がチラリ
崖を回り込むと、チンネと牧草地!
久し振りの登山(といってもハイキング)で脚が……
駐車場から30分ほどで、頂上到着です!
以前登ったときは、たしか聖パトリックの日(3/17)だったなぁ
頂上からの眺め
見よこの眺め!人がごみ……じゃなくて
ジ・アイルランドです(笑)ほんっと、すばらしい!
アイルランドに帰りたい~☘
山頂から南方の眺め
北から時計回り!(上の写真の反対側)
この景色、癒されます~ ☘☘☘
また登りに行きたいな~
ちなみに、上の写真のどれかにアメリカのオバマ前大統領のひいひいひぃぃおじいちゃんの街Moneygall が見えるかもです……在任中に訪れたことがあるそうですよ。
それと、写真中に風車が見えますが、アイルランドは再生可能エネルギー開発を意欲的に進めてます(発電量の20%を占める)。しかも、日本よりも地質的に安定しており地震や火山の無い国ですが、原発はありません。
おわりに
山頂のギャップ。
悪魔が齧ったとされていますが、実は、この山の南には悪魔が齧った石を吐き捨てて丘になった場所があります。
その丘の上には、約1000年前にアイルランド全土を統べる王様の居城がありました。
それはまたいつか記事にしたいと思います~(前もそんなことを言ったような、笑)