金太郎の山といえば、やっぱり箱根の『金時山』? May 17, 2019 【金太郎ゆかりの山②】
そろそろ5月も終わり!来月には北アルプスの一部の山が登れるようになります!(冬山は知らない!)
さて、今月もいつものように里山を中心に登山してきましたが、
- 信州の筑北三山(四阿屋山、聖山と姨捨山)
- 虫倉山(大姥様の山姥伝説)
- 大姥山(大姥様と金太郎伝説)
だんだん伝承が残る山にはまってきました。
むむ、金太郎伝説?金太郎といえば、箱根の「金時山」でしょ!
ということで、大姥山に登ってる最中に思いついて、はるばる行ってきました、金時山!
なんだか、日本昔話シリーズとなってきました(笑、少々記事長いです。4000文字程度)
Contents
金時山ガイド
私事ですが、金時山は中学時代に登ったような登ってないような? 曖昧な記憶のまま実家に立ち寄り、親に話を聞くと……
父と私の友人と自分で箱根の外輪山(明神ヶ岳)に登った時、金時山の手前で下山したそうです。
峠から金時山の特徴的なピークが記憶に残っているのは、下山時の心残りの思い出なのか……
だいぶ時を経て、リベンジの金時山です!
『金時山(猪鼻山)』 (きんときやま、いのはなやま)難易度:★★☆☆☆*1 ※山頂近くは急登&階段!
【アクセス】御殿場ICから30分(16㎞)、または大井松田ICから35分(19㎞)
【山頂標高】1,212m(三等三角点)
【登山口標高】840m
【コース距離】4.3km (足柄峠コース、車止めゲートからの往復)
【参考コース時間】計1時間40分(休憩含む)
【展望良さ】★★★☆☆ (主に富士山と箱根方面の展望良好)
【山域地質】35~30万年前の玄武岩からなる火山体の一部。詳細は「箱根と金時山の地質概説」の項参照。
金時山のハイライト
1.何と言っても富士山と箱根の眺望です!
2.金時娘!
足柄峠コースでは、運が良いと金時娘さんの登山風景が見られるかもしれません。
登山道詳細(足柄峠コース)
比較的駐車場が空いていると噂の足柄峠コースから金時山に入りました。足柄峠から林道「矢倉沢仙石原線」に入り、砂利道と舗装道路を進むこと2㎞で駐車場に至ります。
当初の予想とは異なり、平日だったにもかかわらず、駐車場にはすでに10数台の車が停まっていました。ナンバーを見ると小田原や御殿場方面の地元の車がほとんどでした。 金時山大人気です!
信州と比べると人口の多い地域のせいもあるのかな? 因みに長野県は、横浜市・大阪市・名古屋市よりも人口が少ないです。
小さく見える人影。追いつけると思ったら…… 1000回以上登ってる方のようでした。
駐車場は2ヶ所あり、林道ゲートの手前とその100m手前にあります。
金時山と林道ゲート
ゲート通過後、しばらくは緩やかな登りの林道を歩きます。 途中、視界が開け道が広くなると「猪鼻砦跡」です。
砦跡にはベンチがあり、富士山の眺望を楽しみながら休憩できます。
砦跡から数分歩くと、いよいよ本格的な登山道になります。駐車場から20分ほどです。
右の青い建物は、荷揚げ用の滑車を管理する建物です。が、実は荷物だけでなく……
鳥居をくぐると、
急登が始まり、階段かいだんカイダン……
登山道はよく整備されており、急登にもかかわらず非常に登りやすかったです
登山道の横に張られているワイヤーから何やら音が……荷揚げしてるのかと思いきや、よく見るとおばあさんが!大姥様かっ!!!
肖像権の為、お顔は葉っぱに隠れております。悪しからず(笑)
金時娘さんが滑車に乗って上がっていくのを唖然と見送った後、気を取り直して登山再開。登山道から30分ほどで頂上到着です!
最後の階段! 山小屋は2軒あり、左の建物が「金太郎茶屋」、右が「金時娘の茶屋」
まだ金時娘さんは茶屋の中で準備中の様でした。
金太郎茶屋の登山ノートを見て驚いたのですが、金時山は繰り返し登山のメッカのようですね。1000回以上登っている方がたくさん……(私にはマネできない)
山頂からの眺望
麓の街で通勤ラッシュに巻き込まれて、徐々に雲に覆われる富士山に焦っていたのですが、なんとか富士山見えました(;´∀`)
大涌谷から富士山の眺望がすばらしいです!
宝永山も見えます。
この日の二日後に噴火警戒レベルが2に引き上げられました。大涌谷の噴気が若干多いような……
3年前に大涌谷に勤める知人を訪ねたのですが、
「ちょっと硫黄臭いでしょ?最近噴気が多いんだよ」
「ふ~ん、久しぶりに来たから良く分からないけど、多いんだね」
の会話の後、火山活動が活発になり(確か小規模噴火もしましたね)、立ち入り禁止となってしまいました。今回も私が遊びに来た後に……(-_-)
はやく火山活動が沈静化するといいのですが……
金時山の風景指示盤
山頂で風景指示盤を撮った後、金太郎茶屋で山のバッジを買うと、山小屋の女将さんが指示盤についてお話をしてくれました。
「富士山の横に描かれた山がいくつか違うので、あてにしない方がいいよ。指示盤も変える話があるし」と。
間違いに関しては詳しくは述べませんが、指示盤に刻まれた日付を見ると「金時山 海抜1213メートル 昭和32年3月建設 神奈川県箱根町」とありました。
私としては、これだけ古くからあるのだから、間違ってても残しておくのも良いのじゃないかなと思いました。山小屋の方も、私にされたように、登山客に説明できる切っ掛けにもなりますし。
金太郎茶屋の入り口の足元に三等三角点があります。つまづきそう(笑)
金太郎茶屋で購入するともれなく金太郎飴がもらえます
金時娘と白馬岳の関係
指示盤についてそんなことを考えながら、もう一つの山小屋「金時娘の茶屋」の掲示板を眺めていると……
白馬岳の指示盤を運び上げたのは、金時娘さんのお父さんだったのか!
中学生の頃、新田次郎の「強力伝」は読んでいたのですが、誰だったかはすっかり忘れていました。さらに、ちょうど知り合いがGWに白馬岳を登っており、いろいろタイミングが良く驚きました。
今年の夏は「強力伝」を読んで白馬岳に登らないと!
下山後の温泉!
下山後は静岡県側に下り信州に帰りましたが、途中静岡県の小山町の「あしがら温泉」に寄りました。3時間500円。サウナ・露天風呂・アメニティ完備の気持ちの良い温泉でした!足柄峠から降りてすぐにありますので、よろしかったら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
箱根と金時山の地質概説
金時山のある箱根は、2012年に日本ジオパークに箱根ジオパークとして認定されました。それ以来、大涌谷の箱根ジオミュージアムの開設やガイドの養成など活発に活動しているようです。
箱根火山は伊豆半島が本州に衝突する頃、75万年前から40万年前(諸説あり)に活動を始めました。
活動時期はいくつかのステージに分かれますが、箱根の地形を大きく特徴づける大規模なカルデラ*2は、25~17万年前と8~5万年前に形成したと考えられています。
その後も断続的に活動は続き、3200年前の神山の噴火を最後に、マグマ噴火は発生していません(水蒸気噴火は頻繁に発生しています)*3。
金時山はこのカルデラが形成する以前、35~30万年前に形成した玄武岩質の火山体*4です。その後のカルデラ形成期に火山体の南部が崩落し、現在の山体となったと考えられています。
ちなみに箱根火山の研究は戦前から久野久らによって先駆的に行われ、戦後に大切な成果を生みました。箱根は日本の火山学の発展を考える上で、欠くことのできない火山なのです。
と言いつつも、詳細な1/5万地質図が出てないのは何故? 他の文献は著作権上使えない (-_-)
おわりに
金太郎シリーズはまだまだ続きます。乞うご期待!(えっ?しつこい?;)
ところで、今回選んだルートの「足柄峠」は、「古事記」*5の「ヤマトタケル」が関東遠征から帰る際に、亡くなった妻を思い「あづまはや」と嘆いたとされる地です。
「足柄峠」が古来からヤマトタケルや坂田金時の言い伝えが残るのは、箱根峠が開かれる以前、平安時代までは日本の東と西を結ぶ要衝であり、多くの人々がこの地を訪れた結果なのかもしれませんね。
と思いながら、金時山の人の多さに戸惑うのでした~
超私事になりますが、この山行の1週間後、実家の老犬が亡くなりました。わがまま犬でしたが、やっぱりいなくなると寂しいものです……間際に会えて良かったかな……安らかに……
関連記事
参考ウェブサイト