セント・パトリックス・デイ:世界が緑に彩られる日【アイルランドのお祭り】
ヨーロッパ大陸の北西、日本から1万㎞離れたグレートブリテン島。
その西に浮かぶ、アイルランド神話の女神の名に由来するアイルランド島。
日本からの直行便の無い、この北海道とほぼ同じ大きさの島は、北大西洋に流れる暖流と西風のお陰で1年を通して暖かく雨がよく降ります。
そのため、緑濃い景色が至るところに広がるこの島を、人々は「エメラルドの島」、「40種類の緑に彩られた島」と呼びます。
そんな小さな緑の島から始まった、世界中を緑に染めるあげるほどのお祭りがあります。
聖パトリック
このお祭りの由来となる人物、アイルランドの人びとにとって大切な聖人がいます。彼は、およそ1600年前、この緑あふれる島にイギリスから渡ってきました。
聖パトリックによるキリスト教化
この聖人の名を「聖パトリック」といいます。彼はアイルランド島から蛇を追い払い、キリスト教を布教したと言われ、彼の伝説はアイルランド各地に残っています。
イギリス生まれの少年パトリックは、海賊たちに囚われアイルランドで奴隷として過ごしました。
神のお告げにより故郷に逃げ帰った後、彼は宣教師となって再びアイルランドに戻ってきました。
そして、三つ葉のクローバーによく似た緑のシャムロックを使って三位一体を説き、土着のドルイド教を信じていたアイルランドの人々を、キリスト教に導きました。
写真:アイルランド南西部 Killarney のキリスト像。聖パトリック像の写真を撮ってなかった…(汗
修道士がつくったアイルランド文化
彼の布教によってアイルランドは敬虔なキリスト教の地となり、各地に修道院が建てられました。修道院は、優秀な修道士たちを多く輩出しました。
彼ら修道士たちは「ケルズの書」など繊細で美しい写本をつくり、修道院の厳しい規律の生活の中で研鑽を積み、ヨーロッパ大陸で布教活動するようになっていきました。
スター・ウォーズの世界に登場するアイルランド
ところで、この時代の修道院の遺跡がアイルランド各地に残っています。
たとえば、スター・ウォーズ後期の作品中、ルーク・スカイウォーカーは隠遁生活を送っていましたが、その設定となった島「スケリッグ・マイケル島」がアイルランド南西部にあります。この島にある遺跡もその修道院の一つです。
また、国宝「ケルズの書」を所蔵するトリニティー・カレッジ・ダブリンの図書館も、「ジェダイ図書館」のモデルになりました。
世界のセント・パトリックスデイ・パレード
現在、アイルランド共和国は敬虔なカトリック国といわれています。その原型をつくったのが聖パトリックなのです。
その偉業をたたえ、彼の命日3月17日は「セント・パトリックス・デイ」と呼ばれ、共和国の祝日となっています。
この日はアイルランドの人々だけではなく、世界各地に散らばったアイルランド移民たちが聖パトリックを偲び、緑の故郷を思い、緑に着飾り、緑に街を染めあげ、お祭りやパレードを盛大に開きます!
アイルランド移民の多いニューヨークやシカゴのパレードは世界的にも有名で、日本でも報道されることがあります。
写真:アメリカ合衆国、シカゴのセント・パトリックスデイの様子。川が緑に染められている。フリー素材より
日本に広がるアイルランド文化
世界中に拡散したアイルランド文化は、日本にも広がっているようです。最近は、テレビや街角でアイルランド伝統音楽を耳にする機会が増えてきました。
先日、英国風居酒屋を紹介しましたが、
アイルランド風の居酒屋アイリッシュ・パブもたくさん街で見かけるようになりました。
私の周りでもアイルランド音楽を演奏する若い人たちがたくさんおり、アイルランドに興味を持つ人が徐々に増えてきているようです。
日本のセント・パトリックスデイ
もし、「アイルランドってどんな国だろう?」と興味をお持ちの方は、朗報です!この3月に日本でアイルランドを経験できます!
先程述べたセント・パトリックスデイのイベントが日本全国でも開かれるのです!
3月の各週末に、北は札幌から南は沖縄まで、パレードやイベントが開催されます!
パレードではアイルランド伝統音楽が楽しく鳴り響き、イベントでは伝統音楽を聴きながらアイルランドの食べ物や飲み物を楽しむことができます。
イギリス系の料理は不味いとよく聞きますが、アイリッシュ・シチューなど美味しい食べ物や、ギネスビールなど日本のものとは違ったビールも楽しめますよ!
このイベントに興味のある方は、下記のIrish Network Japan (INJ) のイベント日程をご覧になり、緑のものを身に着けて、是非お近くのイベントの開催される街に足を運んでみてください!パレードに参加しなくても、楽しく過ごせると思います!
参考ウェブサイト
- セント・パトリックスデイ日程:INJ, St Patricks Day in Japan Guide 2019