【今日の一枚】目標達成のご褒美!【常念岳】
今年最初に立てた目標(テン泊してギネス飲む)
達成です!(目標とご褒美が重なってますが……
ギネス美味すぎて、すぐ飲んでしまいました!w
梅雨の狭間の晴れ!
人も少なく(3張りだけ)、日も長く、
槍と大キレットを心ゆくまで鑑賞!
明日の朝が楽しみです〜
【爺ヶ岳】6/12(水)から『柏原新道』開通!+山頂からの写真と地質のお話
季節は梅雨に入りましたが、北アルプスの多くの山は開山祭を終えました。主要な山小屋も再開され、夏道も下部を中心に開通しているようですね(上部は冬道の所もありますが)。
北アルプス北部、後立山連峰でも徐々に夏に向けた準備が進んでいるようです。爺ヶ岳のベースとなる「種池山荘」のウェブサイト「鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳、鳴沢岳、針の木岳へ行こう」、11日付の「最新情報」によると、6/12(水)から「柏原新道*1」が通行可能となるそうです!
写真は2016年10月のものです 。
「種池山荘」と同系列の「冷池山荘」は、6/14(金)から営業を再開します(新越山荘は6/29土頃)。
同じく2016年10月撮影。
山荘ウェブサイトによると、スタッフさんによる除雪がされていますが、上部はまだまだ残雪が多く6月中はアイゼン・ピッケル等の携行が必要だそうです。
ですが!いよいよ爺ヶ岳を普通に登れる季節になってきましたね!
私のアイゼン・ピッケルは共に腐っており(笑)、雪用の装備はチェンスパとポール。しかも技量・体力共に落ちているので、無理せず様子を見て6月下旬に行ければと思っています。今の状況で突撃したら、滑落して扇沢にダイブです(笑)。
ばっちぃ……ちゃんと整備すれば使えるかもしれないけど……アイゼン(逆だw)は新しいの欲しいなぁ、来シーズンかな。
爺ヶ岳登山口の駐車場(扇沢)までのアプローチですが、片側1車線の広い道で余裕をもって駐車場まで運転できます。駐車場も多く広いので、ハイシーズンを除けば、麓の大町市からのアクセスもかなり良いと思います*2。
公共交通機関も路線バスから夜行バスまでいくつか選択肢があり、困ることはないと思います。詳しくは、種池山荘ウェブサイトのバス時刻表で。
登山口脇の橋の右岸(西)側にも20-30台ほどのスペースがあります。
爺ヶ岳の一般的な登山ルートである登山口(1,350m)~(柏原新道)~種池山荘(2,460m)~爺ヶ岳南峰(2,660m)は、柏原新道上部の残雪が少なくなる7月中旬頃から初心者おすすめのコースとなります。柏原新道はよく整備されており、難所も上部「ガラバ」周辺の登山道と雪渓だけであり、それ以外は歩きやすい道です*3。ただし、新道は樹林帯の谷あいの斜面を進むので眺めはあまり期待できませんので*4、山荘までのお預けです。
また、扇沢をベースにして三大雪渓の一つ「針ノ木雪渓」を登り詰め、針ノ木岳・蓮華岳へ!そして新越山荘*5に泊まり、針ノ木岳ー爺ヶ岳間を縦走することもできます。
閑話休題、石の話です。興味ない方は読み飛ばしてください……
柏原新道では「溶結凝灰岩」という火砕流*6の堆積物が出てきます。鹿島槍を除く後立山連峰南部、爺ヶ岳から五龍岳付近は、上記の石を含めた火山岩からなり、箱根や阿蘇などに見られるカルデラを100万年以上前に作っていたと考えられています*7。
さらに爺ヶ岳頂上付近には、ほぼ垂直に傾いた湖底堆積物(おそらくカルデラ湖)が登山道沿いに現れます。一方、これら火山性の堆積物とは異なり、種池山荘や鹿島槍ヶ岳山頂では世界でも屈指の新しい花崗岩*8が露出しています*9。
火山岩と花崗岩の境目は、種池山荘・冷池山荘・キレット小屋付近や、柏原新道上部の夏まで残る雪渓付近になります。風化していなければ、火山岩と花崗岩は見た目が結構異なるので、歩いている最中に石の変化に気付くかもしれません。
これらの石の分布・産状は、この地域の隆起量と変動方向がいかにもの凄いかを物語っています*10!とりあえず、花崗岩の年代値と花崗岩形成時の深さから最大隆起量を簡単に見積もると、年間8㎜前後になります(えっ?いくらなんでも…w)。
とにかく、北アルプスの形成史を考えるうえで、この地域は非常に大切なフィールドとなります。爺ヶ岳おもしろい!(と感じて頂けたらいいんだけどw)
石の話おわり!
3~4時間かけて新道を登り切った種池山荘からの眺めは素晴らしいです。しかし、さらに山荘から30分ほどの爺ヶ岳南峰からは360度の大展望が広がります!迫力の剱岳や立山はもちろん、北アルプス南部から遠く富士山も望めます!
眺めを楽しんだ後は、山荘に帰って生ビールと本格ピザ*11が楽しめます!あまりの素晴らしさ&居心地の良さに帰れなくなっちゃいます!(笑)
いつまでも見ていたい。(この平坦面は主に北アルプスの隆起・浸食そして堆積作用で出来たのか~ごにょごにょ
このように爺ヶ岳は、アクセスが良好でほとんど難所もなく、それでいて素晴らしい眺めを満喫できるので、北アルプスの中でも比較的楽に山の醍醐味を味わえる山ではないでしょうか!*12
さらに下山後の温泉も、選択肢が豊富です!
- 大町市コミュニティセンター上原の湯*13(500円、9時ー20時、休館日:第2・4火曜日)
- 大町温泉郷 薬師の湯(700円、10時ー21時、7月~10月は7時ー21時)
- ゆ~ぷる木崎湖(650円、7時ー21時、8月無休)
- 葛温泉 仙人閣(700円、11時ー19時)
- 葛温泉 高瀬館(700円、10時ー20時)
- 葛温泉 温宿かじか (800円、10時ー15時)
※休館日は記載のあるもののみ。上記の温泉の源泉はすべて高瀬川の葛温泉です。
もちろん宿泊施設も、大町温泉郷や木崎湖温泉、葛温泉などに旅館・ホテル・民宿が多数あります。
個人的に爺ヶ岳は、北アルプスの中で何回登ったか覚えてない程一番登っている山であり、思い入れもあります。ですので、登山を再開した今シーズンは、日帰り登山からテン泊山行まで十二分に爺ヶ岳を味わいたいですね!あ、あと鹿島槍ヶ岳も!
さいごに爺ヶ岳南峰からの眺め!(2016年10月撮影。Lrで自分好みに現像)
以下6枚は頂上からのパノラマ(焦点距離:24.5㎜)。南東方向から時計回りに。
以降、注目の山のクローズアップ(焦点距離:~130㎜)。南方面から時計まわり。
スバリ岳と赤沢岳間の稜線から薬師岳。
立山。カール上の雪渓は氷河に認定されました。
剱岳。手前は黒部別山。同じく剱岳の雪渓も氷河に認定されました。
爺ヶ岳から流れ下る「棒小屋沢」は広い河原をつくるが、やがて急流となり十字峡で剱沢と出会い黒部川と合流する。そしていくつかの関西電力の発電所を過ぎ、富山平野に出ると広大な扇状地をつくり富山湾に注ぐ。上流からもたらされた栄養分は豊かな漁場をつくる(そうです)。
爺ヶ岳北峰と中峰、奥に北信五岳。
常念山脈山麓の霞む山ひだ。こういうの好きです!麓からもいい雰囲気に霞むんだよね~
この夏、爺ヶ岳に登ろ~♪♪♪
*1:立山黒部アルペンルートの扇沢駅と爺ヶ岳を結ぶ登山道
*2:お盆などは満車となり、篭川下流の駐車場からシャトルバスが出ることもありますので、ご注意を
*3:もちろん油断はしないように。心配であればチェーンスパイクなどの軽アイゼン携行も考慮してください
*5:テン場はありません
*6:1991年の雲仙普賢岳噴火や2014年の御嶽山噴火でも発生
*7:滝谷ー穂高コンプレックス同様、浸食により地形は残っていません
*8:マグマ溜りの化石、噴火しなかったマグマの残りとも
*9:北アルプスにはこの他にも、上高地付近に第四紀花崗岩が露出します→新しいマグマ溜りが地上に露出=隆起量がすごい!
*10:関電トンネルの破砕帯ー針ノ木峠ー船窪岳と南沢岳間のコルー高瀬ダムが、おそらく現在の変動場→活断層=地震頻発。小規模な地震が多い地域です
*11:昔よく登ってた時はありませんでした
*13:わっぱらのゆ
『登山届』提出が義務付けられている山域【長野県】
6月も半ばに差し掛かり梅雨入りした地域が増え、山登りもひと段落。こんな時は今一度、山の下調べや道具の整備等するのも良いでしょう。そして、この機会に登山の安全について見直すことも大切です。
山登りの常識の一つとして、登山届を提出することがあります。登山届提出は、万が一遭難した時に迅速な救助活動が期待でき、生存する可能性が高まります。また、計画書を作成することによって、これから登る山の特徴が分かり、事前の安全対策にもつながります。
多くの登山者が集まる長野県では、2014年の御嶽山噴火以降、登山届に関する条例*1によって登山届(登山計画書)の提出が義務付けされている登山道があります。
この条例による罰則(過料)はありませんが、長野県以外では富山、群馬、岐阜、新潟も登山届に関する条例を定めており、罰則が規定されている場合があります。また、富士山と南アルプスを擁する山梨県も登山届義務化に向けて準備が進められています*2。
Contents
長野県の登山計画書(登山届)提出の対象山域
山岳県である長野県では多くの山域が対象となっていますので、一覧を掲載しておきます。
- 北アルプス(白馬岳、唐松岳、槍ヶ岳、奥穂高岳など)
- 中央アルプス(木曽駒ヶ岳、宝剣岳、空木岳など)
- 南アルプス(甲斐駒ヶ岳、仙丈ケ岳、赤石岳など)
- 八ヶ岳(蓼科山、天狗岳、赤岳など)
- 志賀・苗場(岩菅山、苗場山など)
- 戸隠(戸隠山、黒姫山、飯縄山など)
- 上信国境(四阿山、浅間山など)
- 奥秩父(甲武信ヶ岳、金峰山など)
- 御嶽山(御嶽山)
詳細はこちら(長野県公式)。
長野県周辺の県では、富山県の剱岳、岐阜県の北アルプスなど、群馬県の谷川岳、新潟県の焼山(活火山なのでご注意を!)でも登山届提出条例があります。罰則も規定されていることがあります*3。
長野県の登山計画書(登山届)の提出先
インターネットによる提出と紙による提出の二通りがあります。個人情報の取扱いを気にする方は、ネットや郵送の利用を考えてみるのも良いでしょう。
インターネット
紙の書類
- 登山口の登山ポスト(登山ポスト所在地一覧:pdfファイル/長野県)
- 郵送(登山計画書郵送先及びお問い合わせ先/長野県)
- FAX(長野県全域:03-6862-5035)
登山計画書のダウンロード(長野県公式サイトから)
また、以下のコンビニのコピー機から登山計画書を有料*4で印刷することもできます。
セブンイレブン、ローソン、サークルKサンクス、ファミリーマート、セイコーマート
おわりに
登山届を作成することによって、登山道の状況、危険個所、山小屋などの避難場所、行動時間などを把握することができます。さらに提出することによって、不測の事態に備えることができます。
日本アルプスなどの山岳地域だけでなく里山でも遭難は発生しますので、山行の際は是非届け出をして安全登山を心掛けましょう!
先日、山岳救助隊の隊員になった知人が取材された番組を見ましたが、彼のお世話にならないよう私も気を付けたいと思います。
以上の長野県の登山計画書提出に関する情報は、
を参考にしました。
環水平アーク@燕岳 Jun 6, 2019
燕山荘のお昼時に現れた環水平アーク。
山荘前のベンチで、有明山の下に霞んで見える街並みを眺めていると、山頂で親しくなった方に「出てるよ!」と教えて頂きました!
環水平アーク(かんすいへいアーク):太陽の下に、ほぼ水平な虹のような帯が見える現象。幻日と同じく上空の大気中の氷晶が太陽光を屈折することで生じる。
出典:大辞泉
内暈も。
10分(もう少し長かったかな)ほど出ていましたが、燕山荘のブログを見ると、何度か出ていたようです。
先日のGWにも、環水平アークは全国的に話題になっていたようですね。
私もちょうど山に登っている時に見ました!この日の方が明瞭でしたね。
環水平アーク@京ヶ倉 on Apr 28。下に写っている山は、鉢伏山や美ヶ原高原。
入梅前の燕岳は、太陽、雲そして北アルプスのコラボレーション!
満足の山行でしたー!
湧き立つ雲!
燕岳にアクセントを付ける巻雲もなかなか。
飛行機雲の影が巻雲に。
ライチョウも!
そのうち登ろう~
でも、久し振りの2,500m超は疲れた!空気薄かった!
そのうち山行記録まとめます~
中山(富山県):剱岳の眺望を手軽に楽しみたいならココ!+ちょこっと地質 May 30, 2019
富山湾から聳え、雄々しい山容を誇る「剱岳」は、厳しい日本海の気候に晒される冬期だけでなく、険しい岩稜帯からなるルートのため、夏期においても日本で最難の山の一つとして知られています。
時に牙剥くこの山で犠牲になった尊い命は数知れず、その麓には慰霊碑やレリーフが彼らの魂を鎮めるため数多く立ち並んでいます*1。
しかし、だからこそ、この人を拒む剱岳に多くの登山者は惹きつけられるのでしょう。
私も北アルプスといえば、白馬岳、穂高連峰と槍ヶ岳*2とともに、子供の頃に立山登山で見て以来、剱岳は憧れの山でした。
登頂は大学時代に剱沢から登った1回きりですが、よく登っていた後立山連峰から見える剱岳は、やはり他の山とは違う雰囲気を身にまとい、気が付けばしばらく見とれていたものです。
冷たい雨降りしきり、冬支度始まる樹林帯と岩壁の尾根を登り切った10月下旬の後立山連峰。凍える一夜を明かした次の朝、テントから出ると…… モルゲンロートに輝く剱岳は、吉田 博の「剱山の朝」のように…… (雪降らなくてよかった~、切実)
この剱岳を長野県から間近に見ようと思うと、2,500mを越える山稜を登らなければなりません。しかし!富山県からは街からでも簡単に見えます!
さらに!1,000mちょっとの里山レベルのある山に登ると、手に取るようにその勇ましい姿を思う存分に楽しめてしまうのです!
今回の記事は、剱岳をお手軽に!間近に!思う存分!見られる山をご紹介したいと思います!
(前置き長かった……今回も5,000字です <(_ _)> )
Contents
中山登山ガイド
剱岳を気軽に見られる山は、富山県の早月川(はやつきがわ)上流の馬場島(ばんばじま)付近にある【中山(なかやま)】です。
この地域ではお手軽に登れる山のようで、山行当日が平日にもかかわらず、多くの方が登られていました!
余談ですが、中山が位置する「上市町」はアニメ「おおかみこどもの雨と雪」のモデルの町だそうですね。作中では、剱沢からの美しい剱岳の姿が描かれていたと記憶しています。
『中山』(なかやま) 難易度:★★☆☆☆*3
【アクセス】登山口付近の「馬場島荘」まで滑川ICから40分(25㎞)、または魚津ICから45分(33㎞)
【山頂標高】1,255m(三等三角点)
【登山口標高】700m
【コース距離】6.5km (中山遊歩道を反時計回り)
【参考コース時間】計3時間40分(休憩・石の見学含む)
【展望良さ】★★★★★ (剱岳の眺望は絶品!!!)
【山域地質】山頂付近は中生代三畳紀の眼球状マイロナイト。山腹東側は古生代の飛騨変成岩類*4からなる(1/5万「立山」地質図幅)。北アルプスでは、最も古い地質帯の一つ(岩石・鉱物単位ではさらに古いものが日本には産する)。
登山道(中山遊歩道)概要とハイライト
中山を登るルートは一つ、「中山遊歩道」です。馬場島から中山頂上までを一周するルートで、反時計回りに周回するのが人気のようです。登りは、樹林帯の尾根を。下りはお花畑と雪解けの水流れる沢沿いになります。
登山道は終始よく整備されており、急登や鎖場もないので、ハイキング気分で登ることができます。
ただし、中山の上にある「クズバ山」は、樹林帯の急登や崩落箇所、また今回は斜面の随所に残雪が見られたので、もしこちらまで登山の際には十分お気を付けください(ハイキング気分はおすすめしません)。
また、野生動物にも気を付けてください。今回の山行の際も、姿は見えませんでしたが、カモシカまたは鹿の群れが登山道周辺にいました。もちろんツキノワグマの生息域ですので、熊鈴などの装備は怠りなく。
地図の真ん中右寄りに馬場島層荘があります。
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
※時間はおおよその目安となります(標準くらいです)。
中山のハイライトは、なんといっても頂上からの剱岳の眺め!
それと、北アルプスでは最古級の岩石(古生代~の飛騨帯)も見られます!
登山口まで(魚津市の海の駅から馬場島荘)
近くの入善町には無料のキャンプ場が二つ(別の記事で紹介します)ありましたが、深夜の到着でしたので魚津市「海の駅 蜃気楼」で車中泊です。
ここで失敗……二つ持参したカメラのうちメインの一台のSDカードがしっかりと入っておらず、記録されてませんでした ( ノД`) ですので、写真は魚眼レンズのものです…… 登山開始間際に気付いたのが救い……
左:立山連峰(右)の後ろに後立山連峰(左)!なるほど、たしかに富山から見ると立山の後ろにある!。右:富山湾と能登半島
登り(馬場島荘から中山頂上)
気を取り直して、登山開始!
地図の中央右寄りの馬場島荘からスタートです!
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)ここまで!
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
海の駅から40分ほど早月川沿いに車で上がると、「馬場島荘」に到着です。山荘の前に10台ほどの駐車スペース、下に20台ほど、更にその下の登山口にも5,6台のスペースがあります。
山荘から上流に登りキャンプ場を過ぎると、剱岳への長い稜線「早月尾根」の取り付き点になります。今回は山荘から下った、「中山」の登山口に向かいます。
山荘の方から「今日はどちらに?」とお声掛けいただきました。
馬場島荘の入り口に設けられた登山届受付。里山レベルですが提出。
山荘はもう開いており、トイレも利用できました。(6/1土にキャンプ場が開き、本格的に利用できるようです。シャワー利用は週末や祝日のみのようです)
山荘から舗装道路を少し下ると、「中山」の登山口に。
すでに数台の車が右側に停まっており、準備をしているパーティもおられました。
登山道はよく整備されており、登りやすかったです!
ブナの木々の間から見える剱岳を楽しみながら歩いていると、時折大きな杉の木が!登山道の中ほどに眺めの良い開けたところも。休憩に良いかもしれません。
登山開始から1時間ほどで「五本杉の平」に。ここからは緩い登りになり山頂に至ります。富山市の街並みも見え隠れする樹林帯を歩いていると、やがて山頂へ!
大きな木の室があったり、くぐれる穴があったり。登山道わきにはまだ雪が!
頂上からの展望!
もう言うことなしの剱岳の眺め!!!
↑早月尾根をよーく見ると、↓早月小屋が!
左:大日岳。右:早月川の向こうに富山市と斜水市(いみずし)の臨海地区と富山湾
これだけ剱岳が見えて三等ですか……
下り(中山頂上から馬場島荘)
地図の上部中央の中山頂上から反時計回りに下山!
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)ここから!
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
山頂から10分ほどでクズバ山分岐点になります。クズバ山の方が更に眺めが良いようですが、クズバ山を見ると残雪があり、さらに登山道が崩落してる部分があるそうなので、無理せず下山!(昔だったら突撃してたと思うけど、というか行かされてた、笑)
誰ですか!壊したのは!?(笑)
左の写真:中山方面、中の写真:馬場島方面、右の写真:クズバ山方面
途中、人工的なものが!たぶん、発電用の水路でしょう。これを過ぎると、雪解けの水流れる東小糸谷に。お花畑の中を沢沿いに下ります。途中3回沢を渡りますが、木橋がかかっていますので問題ないでしょう。
沢の向こうに見えるは大猫山かな。木橋は三つともしっかりしていました。
やがて立山川沿いの林道との合流地点に!
新鮮な石がいっぱーい! しばらく石を見ていました~♪
雪まだ残る林道を歩き……
早月尾根の取り付け地点に。
標高差2,200m以上!体力付いたら行きたいな~
剱岳の登山口の下にキャンプ場があり、馬場島荘もすぐです。
快適なキャンプ場!6/1からオープンしました!
馬場島荘にとうちゃーく!
写真は出発時のものです。下山時は右の建物にパトカー2台に、あと、たくさんの車が!中山登山口にもさらに多くの車が停まっていました。中山大人気!
そうそう、登山中に富山県警らしきヘリがずっと早月尾根上をホバリングしていました。訓練や登山道の視察ですかね?おつかれさまです!
中山と立山川のちょっと古い石ころたち
先日の「南木曽岳」は恐竜が絶滅する頃にマグマが固結した石からなる山でしたが、今回の「中山」は恐竜が発生する頃、またはそれ以前に形成した岩石となります。
また、北アルプスは新しい火山もいくつかあるものの、中央アルプスと同様に主に中生代*5の花崗岩類*6からなる山脈です。中生代の時、日本列島はまだ大陸縁辺の一部であったと考えられています。
北アルプス北部のこの地域では、北アルプスの中でも古い岩石が見られ、日本で見られる地質帯としても古いものの一つですが*7、それでも古くておおよそ3億年前です。地球46億年の歴史を考えると大した古さではないですね*8……
1/5万「立山」地質図幅によると、中山頂上の石は斑状のカリ長石が目立つ花崗岩のマイロナイト*9らしいですが、そんなにマイロナイトじゃない? というか、みえない……ごめんなさい(汗
ピンクがかった部分がカリ長石。黒い部分は黒雲母。温度計の直径は5.4㎝
真っ白な石!石灰岩が変成して方解石になってるのかな?これは飛騨変成帯のもので、この地域では一番古いようです(下山時、東小糸谷の大きな転石。スケールがない……古生代末期)。
↑船津型 ↓下之本型。白い船津型の方が新しい。北アルプスの花崗岩の中では、最も古いものの一つ。
飛騨変成岩類(立山川の転石。本地域は、古生代末期の二畳紀ー中生代前期三畳紀)
火成岩起源、石灰岩起源のものなど、様々な変成岩があります。
飛騨変成岩類はまだ統一した見解が出ていないようですが、4億5千万年~3億年前に中国北部(中朝地塊)と南部(揚子地塊)の大陸が衝突した時にできたものと考えられているようです。因みに、日本列島が大陸から分離して成立するのは1500万年前~と一桁新しいです。
※ちょっと詳しく
変成岩とは、既存の岩石が温度・圧力が変化することによって再結晶した(変成作用)岩石。地殻の岩石を大きく分類すると、火成岩(マグマが固結した岩石)、堆積岩(粒子が重力の影響で堆積した岩石)とこれらが変成作用を受けた変成岩の3つになります。
早月川の北の黒部川宇奈月の石の中には、38億年前(!)の鉱物(ジルコン)が入っているそうです。
あんまり書くと、誰かに見つかって怒られそうだからこれくらいに……(苦笑)
それにしても、登山道に石についての掲示がなかったのが残念。 日本の「地質」の扱いは、アイルランドやイギリスに比べるとひくい~
おわりに
今回の山行は天気もとっても良く、大満足でした!
気軽に登れる山なので、また来たいと思います!
全国的に知名度の低い山ですが、「中山」はおすすめの山ですね!
もちろん立山方面からの剱岳の眺望も捨てがたいですが、ハイキング気分(でも装備はしっかりと!)で間近で迫力の剱岳をご覧になりたいならば、「中山」は満足できると思います!
特に危ない箇所もないので、富山県にご旅行の際にお立ち寄りになるのも良いかもしれません!
【また来たい度&おすすめ度】
★★★★★×3億!(笑笑笑)
関連記事
cashel.hatenablog.com
参考文献・ウェブサイト
観光地:おおかみこどもの花の家HP;NPO法人おおかみこどもの花の家
山域の地質図:原山智・高橋浩・中野俊・苅谷愛彦・駒澤正夫(2000)立山地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図幅), 地質調査所, 218p. (リンク:産総研地質調査総合センター)
*1:最も遭難死者数が多いのは「谷川岳」。日本屈指の花崗岩の大岩壁「一ノ倉沢」における事故も多い。しかし、日本海側と太平洋側の気候が交錯する2,000mに満たない山は天気が変わりやすく、気軽にロープウェイで上がってきた軽登山者による事故も多い。中学の夏に訪れましたが、ヘッドランプに浮かび上がった慰霊碑の巨大さに驚きました……
*2:槍ヶ岳、やはり中学の夏に涸沢から縦走して登りましたが、ほんとかっこよかった!
*3:★1ピクニックレベル、★3丹沢、★5穂高連峰 ※筆者主観。★1でも油断禁物!
*4:日本の中でふる~い方の石
*5:2億5千万年前~6千5百万年前
*6:マグマが地下でゆっくり冷え固まった岩石
*7:以前は日本最古の基盤と考えられていた
*8:地球の歴史:先カンブリア時代(古生代よりも前、地球が生まれるまで!46億年前!)、古生代(5億4千万年~2億5千万年前)、中生代(2億5千万年前~6千5百万年前)、新生代(6千5百万年前~現在)
*9:地下深く高温領域で大きな力が長い間かかって、ぐにゅ~っと変形した石