中山(富山県):剱岳の眺望を手軽に楽しみたいならココ!+ちょこっと地質 May 30, 2019
富山湾から聳え、雄々しい山容を誇る「剱岳」は、厳しい日本海の気候に晒される冬期だけでなく、険しい岩稜帯からなるルートのため、夏期においても日本で最難の山の一つとして知られています。
時に牙剥くこの山で犠牲になった尊い命は数知れず、その麓には慰霊碑やレリーフが彼らの魂を鎮めるため数多く立ち並んでいます*1。
しかし、だからこそ、この人を拒む剱岳に多くの登山者は惹きつけられるのでしょう。
私も北アルプスといえば、白馬岳、穂高連峰と槍ヶ岳*2とともに、子供の頃に立山登山で見て以来、剱岳は憧れの山でした。
登頂は大学時代に剱沢から登った1回きりですが、よく登っていた後立山連峰から見える剱岳は、やはり他の山とは違う雰囲気を身にまとい、気が付けばしばらく見とれていたものです。
冷たい雨降りしきり、冬支度始まる樹林帯と岩壁の尾根を登り切った10月下旬の後立山連峰。凍える一夜を明かした次の朝、テントから出ると…… モルゲンロートに輝く剱岳は、吉田 博の「剱山の朝」のように…… (雪降らなくてよかった~、切実)
この剱岳を長野県から間近に見ようと思うと、2,500mを越える山稜を登らなければなりません。しかし!富山県からは街からでも簡単に見えます!
さらに!1,000mちょっとの里山レベルのある山に登ると、手に取るようにその勇ましい姿を思う存分に楽しめてしまうのです!
今回の記事は、剱岳をお手軽に!間近に!思う存分!見られる山をご紹介したいと思います!
(前置き長かった……今回も5,000字です <(_ _)> )
Contents
中山登山ガイド
剱岳を気軽に見られる山は、富山県の早月川(はやつきがわ)上流の馬場島(ばんばじま)付近にある【中山(なかやま)】です。
この地域ではお手軽に登れる山のようで、山行当日が平日にもかかわらず、多くの方が登られていました!
余談ですが、中山が位置する「上市町」はアニメ「おおかみこどもの雨と雪」のモデルの町だそうですね。作中では、剱沢からの美しい剱岳の姿が描かれていたと記憶しています。
『中山』(なかやま) 難易度:★★☆☆☆*3
【アクセス】登山口付近の「馬場島荘」まで滑川ICから40分(25㎞)、または魚津ICから45分(33㎞)
【山頂標高】1,255m(三等三角点)
【登山口標高】700m
【コース距離】6.5km (中山遊歩道を反時計回り)
【参考コース時間】計3時間40分(休憩・石の見学含む)
【展望良さ】★★★★★ (剱岳の眺望は絶品!!!)
【山域地質】山頂付近は中生代三畳紀の眼球状マイロナイト。山腹東側は古生代の飛騨変成岩類*4からなる(1/5万「立山」地質図幅)。北アルプスでは、最も古い地質帯の一つ(岩石・鉱物単位ではさらに古いものが日本には産する)。
登山道(中山遊歩道)概要とハイライト
中山を登るルートは一つ、「中山遊歩道」です。馬場島から中山頂上までを一周するルートで、反時計回りに周回するのが人気のようです。登りは、樹林帯の尾根を。下りはお花畑と雪解けの水流れる沢沿いになります。
登山道は終始よく整備されており、急登や鎖場もないので、ハイキング気分で登ることができます。
ただし、中山の上にある「クズバ山」は、樹林帯の急登や崩落箇所、また今回は斜面の随所に残雪が見られたので、もしこちらまで登山の際には十分お気を付けください(ハイキング気分はおすすめしません)。
また、野生動物にも気を付けてください。今回の山行の際も、姿は見えませんでしたが、カモシカまたは鹿の群れが登山道周辺にいました。もちろんツキノワグマの生息域ですので、熊鈴などの装備は怠りなく。
地図の真ん中右寄りに馬場島層荘があります。
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
※時間はおおよその目安となります(標準くらいです)。
中山のハイライトは、なんといっても頂上からの剱岳の眺め!
それと、北アルプスでは最古級の岩石(古生代~の飛騨帯)も見られます!
登山口まで(魚津市の海の駅から馬場島荘)
近くの入善町には無料のキャンプ場が二つ(別の記事で紹介します)ありましたが、深夜の到着でしたので魚津市「海の駅 蜃気楼」で車中泊です。
ここで失敗……二つ持参したカメラのうちメインの一台のSDカードがしっかりと入っておらず、記録されてませんでした ( ノД`) ですので、写真は魚眼レンズのものです…… 登山開始間際に気付いたのが救い……
左:立山連峰(右)の後ろに後立山連峰(左)!なるほど、たしかに富山から見ると立山の後ろにある!。右:富山湾と能登半島
登り(馬場島荘から中山頂上)
気を取り直して、登山開始!
地図の中央右寄りの馬場島荘からスタートです!
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)ここまで!
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
海の駅から40分ほど早月川沿いに車で上がると、「馬場島荘」に到着です。山荘の前に10台ほどの駐車スペース、下に20台ほど、更にその下の登山口にも5,6台のスペースがあります。
山荘から上流に登りキャンプ場を過ぎると、剱岳への長い稜線「早月尾根」の取り付き点になります。今回は山荘から下った、「中山」の登山口に向かいます。
山荘の方から「今日はどちらに?」とお声掛けいただきました。
馬場島荘の入り口に設けられた登山届受付。里山レベルですが提出。
山荘はもう開いており、トイレも利用できました。(6/1土にキャンプ場が開き、本格的に利用できるようです。シャワー利用は週末や祝日のみのようです)
山荘から舗装道路を少し下ると、「中山」の登山口に。
すでに数台の車が右側に停まっており、準備をしているパーティもおられました。
登山道はよく整備されており、登りやすかったです!
ブナの木々の間から見える剱岳を楽しみながら歩いていると、時折大きな杉の木が!登山道の中ほどに眺めの良い開けたところも。休憩に良いかもしれません。
登山開始から1時間ほどで「五本杉の平」に。ここからは緩い登りになり山頂に至ります。富山市の街並みも見え隠れする樹林帯を歩いていると、やがて山頂へ!
大きな木の室があったり、くぐれる穴があったり。登山道わきにはまだ雪が!
頂上からの展望!
もう言うことなしの剱岳の眺め!!!
↑早月尾根をよーく見ると、↓早月小屋が!
左:大日岳。右:早月川の向こうに富山市と斜水市(いみずし)の臨海地区と富山湾
これだけ剱岳が見えて三等ですか……
下り(中山頂上から馬場島荘)
地図の上部中央の中山頂上から反時計回りに下山!
- 馬場島荘で登山届提出して、反時計回りにすたーと!!
- 中山遊歩道登山口(まで5分)
- 五本杉の平(まで60分)
- 中山(まで30分)ここから!
- クズバ山登山道分岐点(まで10分)
- 東小糸谷(まで40分)
- 馬場島荘!ごーる!(まで10分)
- おつかれさまです!
山頂から10分ほどでクズバ山分岐点になります。クズバ山の方が更に眺めが良いようですが、クズバ山を見ると残雪があり、さらに登山道が崩落してる部分があるそうなので、無理せず下山!(昔だったら突撃してたと思うけど、というか行かされてた、笑)
誰ですか!壊したのは!?(笑)
左の写真:中山方面、中の写真:馬場島方面、右の写真:クズバ山方面
途中、人工的なものが!たぶん、発電用の水路でしょう。これを過ぎると、雪解けの水流れる東小糸谷に。お花畑の中を沢沿いに下ります。途中3回沢を渡りますが、木橋がかかっていますので問題ないでしょう。
沢の向こうに見えるは大猫山かな。木橋は三つともしっかりしていました。
やがて立山川沿いの林道との合流地点に!
新鮮な石がいっぱーい! しばらく石を見ていました~♪
雪まだ残る林道を歩き……
早月尾根の取り付け地点に。
標高差2,200m以上!体力付いたら行きたいな~
剱岳の登山口の下にキャンプ場があり、馬場島荘もすぐです。
快適なキャンプ場!6/1からオープンしました!
馬場島荘にとうちゃーく!
写真は出発時のものです。下山時は右の建物にパトカー2台に、あと、たくさんの車が!中山登山口にもさらに多くの車が停まっていました。中山大人気!
そうそう、登山中に富山県警らしきヘリがずっと早月尾根上をホバリングしていました。訓練や登山道の視察ですかね?おつかれさまです!
中山と立山川のちょっと古い石ころたち
先日の「南木曽岳」は恐竜が絶滅する頃にマグマが固結した石からなる山でしたが、今回の「中山」は恐竜が発生する頃、またはそれ以前に形成した岩石となります。
また、北アルプスは新しい火山もいくつかあるものの、中央アルプスと同様に主に中生代*5の花崗岩類*6からなる山脈です。中生代の時、日本列島はまだ大陸縁辺の一部であったと考えられています。
北アルプス北部のこの地域では、北アルプスの中でも古い岩石が見られ、日本で見られる地質帯としても古いものの一つですが*7、それでも古くておおよそ3億年前です。地球46億年の歴史を考えると大した古さではないですね*8……
1/5万「立山」地質図幅によると、中山頂上の石は斑状のカリ長石が目立つ花崗岩のマイロナイト*9らしいですが、そんなにマイロナイトじゃない? というか、みえない……ごめんなさい(汗
ピンクがかった部分がカリ長石。黒い部分は黒雲母。温度計の直径は5.4㎝
真っ白な石!石灰岩が変成して方解石になってるのかな?これは飛騨変成帯のもので、この地域では一番古いようです(下山時、東小糸谷の大きな転石。スケールがない……古生代末期)。
↑船津型 ↓下之本型。白い船津型の方が新しい。北アルプスの花崗岩の中では、最も古いものの一つ。
飛騨変成岩類(立山川の転石。本地域は、古生代末期の二畳紀ー中生代前期三畳紀)
火成岩起源、石灰岩起源のものなど、様々な変成岩があります。
飛騨変成岩類はまだ統一した見解が出ていないようですが、4億5千万年~3億年前に中国北部(中朝地塊)と南部(揚子地塊)の大陸が衝突した時にできたものと考えられているようです。因みに、日本列島が大陸から分離して成立するのは1500万年前~と一桁新しいです。
※ちょっと詳しく
変成岩とは、既存の岩石が温度・圧力が変化することによって再結晶した(変成作用)岩石。地殻の岩石を大きく分類すると、火成岩(マグマが固結した岩石)、堆積岩(粒子が重力の影響で堆積した岩石)とこれらが変成作用を受けた変成岩の3つになります。
早月川の北の黒部川宇奈月の石の中には、38億年前(!)の鉱物(ジルコン)が入っているそうです。
あんまり書くと、誰かに見つかって怒られそうだからこれくらいに……(苦笑)
それにしても、登山道に石についての掲示がなかったのが残念。 日本の「地質」の扱いは、アイルランドやイギリスに比べるとひくい~
おわりに
今回の山行は天気もとっても良く、大満足でした!
気軽に登れる山なので、また来たいと思います!
全国的に知名度の低い山ですが、「中山」はおすすめの山ですね!
もちろん立山方面からの剱岳の眺望も捨てがたいですが、ハイキング気分(でも装備はしっかりと!)で間近で迫力の剱岳をご覧になりたいならば、「中山」は満足できると思います!
特に危ない箇所もないので、富山県にご旅行の際にお立ち寄りになるのも良いかもしれません!
【また来たい度&おすすめ度】
★★★★★×3億!(笑笑笑)
関連記事
cashel.hatenablog.com
参考文献・ウェブサイト
観光地:おおかみこどもの花の家HP;NPO法人おおかみこどもの花の家
山域の地質図:原山智・高橋浩・中野俊・苅谷愛彦・駒澤正夫(2000)立山地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1図幅), 地質調査所, 218p. (リンク:産総研地質調査総合センター)
*1:最も遭難死者数が多いのは「谷川岳」。日本屈指の花崗岩の大岩壁「一ノ倉沢」における事故も多い。しかし、日本海側と太平洋側の気候が交錯する2,000mに満たない山は天気が変わりやすく、気軽にロープウェイで上がってきた軽登山者による事故も多い。中学の夏に訪れましたが、ヘッドランプに浮かび上がった慰霊碑の巨大さに驚きました……
*2:槍ヶ岳、やはり中学の夏に涸沢から縦走して登りましたが、ほんとかっこよかった!
*3:★1ピクニックレベル、★3丹沢、★5穂高連峰 ※筆者主観。★1でも油断禁物!
*4:日本の中でふる~い方の石
*5:2億5千万年前~6千5百万年前
*6:マグマが地下でゆっくり冷え固まった岩石
*7:以前は日本最古の基盤と考えられていた
*8:地球の歴史:先カンブリア時代(古生代よりも前、地球が生まれるまで!46億年前!)、古生代(5億4千万年~2億5千万年前)、中生代(2億5千万年前~6千5百万年前)、新生代(6千5百万年前~現在)
*9:地下深く高温領域で大きな力が長い間かかって、ぐにゅ~っと変形した石
南木曽岳:中央アルプスの眺めと意外な出会い!May 23, 2019【金太郎ゆかりの山③】
金太郎ゆかりの山に登ろう第3弾!(いつのまに……)
今回は、信州は木曽地方の里山を代表する「南木曽岳(なぎそだけ)」!
写真は南木曽岳の摩利支天からの眺めです!遠くの緩やかな山頂は恵那山です!手前は花崗岩!
麓には中山道の宿場「妻籠宿(つまごじゅく)」や「馬籠宿(まごめじゅく)*1」があり、観光地としても人気な地域となります。最近は多くの外国人観光客が訪れ、中山道トレッキングも人気のようです。日本人よりも彼らに出会う機会の方が多いそうですよ。
さて、長野県の南木曽町にある「南木曽岳」は、地元のボランティア団体「南木曽山士会(なぎそさんしかい)」によって大切に守られている山です。最近は、山と渓谷社が設立した「日本山岳遺産基金」を活用して登山道の整備が実施されたそうです。
あれ、きんたろうのお話は?
富山旅行の話をすでに記事(いずれ登山記録もアップします)にしていますが、遡ってその前週に登った南木曽岳です。今回、ちょっと長めです~(5,000文字)<(_ _)>
Contents
南木曽岳登山ガイド
『南木曽岳』(なぎそだけ) 難易度:★★★☆☆ ※急登・急な木製階段あり!
【アクセス】南木曽岳「蘭」登山口まで、東京方面からは飯田山本ICから50分(30㎞)、名古屋方面からは中津川ICから50分(30㎞)
【山頂標高】1,679m(二等三角点は1,677m)
【登山口標高】960m(南木曽岳「蘭」登山口)
【コース距離】8.9km (「登山道」と「下山道」利用。男滝・女滝経由)
【参考コース時間】計5時間(休憩・滝見学・石観察含む)
【展望良さ】★★★★☆ (中央アルプス全域、北アルプス南部、南アルプス南部)
【山域地質】中生代白亜紀の苗木・上松花崗岩(日本列島形成以前、大陸縁辺部のマグマ溜りの化石)。浦島伝説の上松の「寝覚ノ床」もこの花崗岩です。粗粒の黒雲母花崗岩で一様な岩石組織できれいでした。でも石を勉強してた人としては、もう少し岩相変化が欲しかったかな。
南木曽岳ハイライト
樹林に覆われた山頂からの眺めは全くありませんが、見晴台や避難小屋そばの展望台からの眺めは素晴らしいです!
避難小屋から中央アルプス!
宝剣岳(しかもロープウェイ利用)しか登ったことがなく、木曽山脈に暗いです……
見晴台からの御嶽山!
噴気が見えます。2014年の噴火が…… 黒い点はウンカです。虫の季節ですねぇ
南木曽岳登山ルート
南木曽岳頂上までのルートは二つあります。
- 「蘭(あららぎ)コース」
- 「上の原コース」
「蘭コース」は、南木曽岳南の二つの急な尾根。「上の原コース」は、南木曽岳北西の長めの稜線を上がるルートになります。
今回はポピュラーな「蘭コース」を選択しました。
南木曽山麓蘭キャンプ場から舗装された林道を10分(2.2㎞)ほど進むと、営林署ゲート前にある「蘭コース」の駐車場に到着です。
営林署ゲート前には二つの駐車場があります。営林署ゲート前の駐車場には5台、100m下の駐車場には10台ほどのスペースがあります。
左:営林署ゲート前の駐車場。右:100m下の駐車場
「蘭(あららぎ)コース」概要
「蘭(あららぎ)コース」は二つのルートからなります。
南西の尾根を上がる「登山道」(普通に使う登山道と区別がしづらく混乱しそうです、笑)。南東の尾根を下る「下山道」。なお、両ルート下部は共通の道を通ります。
おそらくどちらを登り下りしても良いのだと思いますが、今回は名称の通りに進みました。里山としては、どちらも急なルートとなりますので細心の注意を払って下さい。
※これから、コース名の「登山道」はこの様に鍵括弧を付けて、一般的な名称の登山道と区別します。
コース概要
- 駐車場の避難小屋で登山届提出して、すたーと!
- 林道(まで0分)
- 登山口(まで15分)
- 登山道分岐点(まで10分)から「登山道」
- 南木曽岳頂上(まで90分)
- 展望台(まで3分)と避難小屋の展望台(まで5分、そして昼食!)
- 摩利支天(まで15分)から「下山道」
- 登山道分岐点(まで60分)
- 3→1逆順で駐車場。ごーる!(まで20分)
- ありがとうございましたー!
※写真を撮ったり石を見たりしているので、時間はおおよその目安として参考にして下さい。
「登山道」(蘭コース)
まずは簡単な概要を。
登山道分岐点までは「登山道」「下山道」は共通したルートとなります。
分岐点まではのどかな林道や歩道を歩きます。分岐点以降の「登山道」では、前半は谷筋を上がり、中盤から尾根筋を上がり山頂に至ります。樹林帯を歩きますので展望は期待しないと良いでしょう。
鎖場もいくつかありますが、基本的に急登+木の階段が多く、階段のステップが狭いこともあるので、バランスを崩して転倒等しないよう気を付けてください。
それでは詳しく見ていきます!
駐車場脇には南木曽嶽山麓避難小屋があり、ここで登山届を提出できます。隣にはトイレもあります。
登山届を書いていると後ろに紳士が……後に同じコースを辿り、下山後になんと……
営林署ゲートは林道と散策道の二手に分かれますが、5分程で合流します。滝見学も兼ねる方は散策道へ。
15分ほど歩くと林道と登山道の分岐点、「登山口」に到着です。
左の道が登山道、右の道が林道
看板がいくつか立っていましたが、なにやらすごいことが書かれています……
格言です!
大切な言葉ですね!ビビりな私ですが、ついつい忘れがちに……肝に銘じて登山道を進みます!
堰堤前の木橋を渡ると本格的な登山道となります。さらに10分ほどで「登山道」と「下山道」の分岐点に。
左:木橋からは南木曽岳が!右:分岐点の前には積み上げられた木材が。木道の修復用かな?
分岐点を左に曲がりしばらく谷を歩きますが、すぐに本日の目的の一つ「金時ノ洞窟」に。
大岩の下からは冷たい清流が流れ出ていました!石清水~
ここから先は、徐々に勾配が上がり木の階段が増えてきます。
喉の滝、見つけられませんでした……
分岐点からは谷筋を上がってきましたが、20分~30分で尾根筋に登山道は変わります。 急登が続きます。
左:木の階段がつづく!金時山に続きここもか!右:悠仁親王の元号は何になるのでしょうか~?(不謹慎…?)
「登山道」のハイライト、鎖場!でも、横に木橋があるのでエスケープ!
途中、恵那山と麓の南木曽町が!
あの下を中央道の恵那山トンネルが通るのか~と思ったら、北側を通るんだ(笑)
木橋から20分ほど木の階段かいだんカイダンを上がると「かぶと岩」に。
あの岩かな?いかにもな花崗岩的な形!
かぶと岩から15分弱で山頂に!でも、周りは木の中!木曽ですね!
それでも二等は上等です!
頂上には休憩スペースがありましたが、そろそろお昼時。ご夫婦が昼食中でしたので先に進みました。頂上からすぐの「見晴台」も、やはり昼食休憩されてる方たちが……後ろをお邪魔して写真を撮って避難小屋に進みます(昼食どこで食べようかな~お腹空いた~)。
花崗岩の一枚岩から御嶽山や南木曽町(木曽川流域)が一望できます!
お昼たいむ@避難小屋前の展望台
程なくして赤い屋根の避難小屋が見えてきます。ちょっと山っぽい!(いや、やまだけど…?
避難小屋の立派な屋内と環境保全型トイレ。急に天気が崩れて停滞しても安心です!
避難小屋の前にある展望台、眺めが素晴らしい!だれもいない!静かなる山、山、山!
そして、ようやく昼食!わーい!
熊笹の向こうは恵那山かな。(富山から帰宅後、モンベルの青いスポーク洗ったら折れた、泣)
いつものマルタイラーメンと鮭むすびを食し、「そろそろレパートリー増やしたいなぁ」と思案していると、単独行のおじさんが隣で弁当を広げ始めました。
「今日は素晴らしい天気と眺めですね~♪」(営業すまいる^^)
とお決まりのセリフで会話を始めると、しばらくおじさんの山談議が~っ!
大阪から来られたおじさん、日本アルプス全部周ってました!!!
「すごいな~」と驚いていたら、「登山道」を歩いていた方達、頂上や見晴台でご飯を食べていた方達や、山ガールのパーティー等、続々と展望台に人、人、人!!!
なんだか山頂がパーティー状態に!先ほどの静寂がウソのよう~
ちょっと伸びたラーメンの最後の汁を啜り、手早くパッキングすると「下山道」へ~
「下山道」(蘭コース)
避難小屋からは、しばらく熊笹の中アップダウンのある 広い稜線を歩きます。摩利支天を過ぎると、かなりの急坂+木の階段+鎖が連続します。「登山道」よりも勾配がきついです。下りは登りよりも転倒・滑落のリスクが高まりますので、必要であれば階段をハシゴの様に下りた方が安全かと思います。カッコ良さよりも安全を優先してください!
それでは、くわしく!
南木曽岳は大まかに二つのピークからなっています。西の南木曽岳(三角点1,677mと最高地点1,679m)と東の摩利支天(1,675m)。その間は熊笹が広がります。この二つのピークの鞍部に水場があります。
ヤブこぎは卒業したので行きませんでしたよ(笑)
水場分岐を過ぎ、しばらく樹林帯を歩くと三叉路になります。直進すると摩利支天の展望台。西に折れると「下山道」本道となります。
1分ほど歩くと摩利支天の展望台に。恵那山を中心に南方の眺めを楽しむことができます。しかし、風化して丸くなった花崗岩の巨岩の先には、柵がないので転落に気を付けてください。
真ん中の石をよじ登ると……(転落には十分気を付けて
写真左上から、東>南>西。南アルプス南部、恵那山、中津川方面が見えます。
本道に戻り、しばらく進むともう一つの展望台があります。ここはハシゴを登ってすぐです。この展望台には花崗岩の小さなステージがあり、その下は崖になっています。くれぐれも……
この展望台以降は尾根沿いを下りますが、急な下り坂+断続的に木の階段+鎖となります。「登山道」以上に急ですので慎重に下ってください。
2番目の展望台から40分ほど急坂を下ると、「登山道」との分岐点に到着です!ここからは登りと同じ道を逆方向に辿り駐車場へ!ゴールです!
木道が見えたら、すぐに分岐点!
早めに着いたら、駐車場近くの男滝と女滝を見学するのも良いでしょう~
左:男滝。右:女滝
南木曽岳のすとーん!
時間に余裕があったので、分岐点下の堰堤の河原で石を観察しました。この山はほとんど同じ花崗岩から出来ているようです。苗木・上松花崗岩といいます。左の写真のように粒が粗く、肉眼では黒雲母(黒)、斜長石(白)、カリ長石(ピンク、見づらいかな)、石英(灰)が確認できます。
左:通常の岩相。右:ペグマタイト状。カラビナの長径は約7㎝
花崗岩とは、地下のマグマ溜りが固結してできたマグマの化石です。大陸地殻の多くはこの花崗岩からなると考えられています。逆に言えば、花崗岩があるということは、そこに大陸があったということです。
この苗木・上松花崗岩は日本列島ができるよりもずっと前、6,000万年以上前の大陸の縁辺部で出来たと考えられています。6,000万年以上前というのは、恐竜がまだ地球上を闊歩していた時代です!すごいな~気が遠くなる~
なんてことを考えながら石を見ていたのですが、ほとんど同じような顔つき(業界用語、笑)。何か面白いのないかな~と探していると、右の写真のようにさらに粗くなった部分が!
ほほぉ~と観察していると、
「ペグマタイト*2ですか?」
その声に、「おおおぉ!!?」と振り仰ぐと、登山届を私の後に提出していた紳士が……
このお方、私の後ろをあまり間をあけずに歩かれていたお方。
お話を伺うと、某有名大学の地質の先生でした!
道理で、健脚、いやマニアックな言葉をご存知だったのですね~
おわりに
駐車場の募金箱に感謝も込めてチャリンとした後、シャンプーバイキング&露天風呂自慢の「大江戸温泉物語 ホテル木曽路*3 」で汗を流し、帰途につきました。
久々のきれいな花崗岩に満足しましたが(そこか?)、私がかつて所属していた世界の先生にお会いする偶然。石を調べていた時のわくわく感が少し蘇りました!(遭難死しそうだったから、戻れたとしても戻りたくはないけど~ 、でも石を見て山の成立ちを考えるのは楽しい!
南木曽岳は急峻な山道にもかかわらず、よく整備された登山道でした。地元の有志の方達の努力の賜物ですね!たのしく登山できたことに感謝です!!!
あれれ、ほとんど金太郎出てこなかったなぁ……しかも中央アルプスより恵那山だったし……
参考文献・ウェブサイト
一般サイト等:
金太郎の里をさまよっていたら~@新潟県糸魚川市上路 May 31, 2019【山姥の里と栂海新道】
金太郎の里はどこだろうと彷徨っていたら……
イノシシに出会いました!*1
新潟県糸魚川市の上路地区にも金太郎伝説に関連した山姥伝説があり、富山旅行の帰りに寄りました。
しかし、
どこにあるのだろ~?と糸魚川市上路地区に続く新潟・富山県道115号(五畿七道、北陸道のう回路)を彷徨っていたのですが、下調べ不足+前日の疲労+雨で、結局お目当ての古跡を通り過ぎてしまいました~ (;´∀`)
そのかわりに、タヌキやイノシシに出会いましたよ!さすが、山姥の里!
タヌキは小さすぎてドライブレコーダーの画像では見にくかったので掲載しませんが、車に気付くまで「ぼ~」>車に気付いて「はっ!」>ヤブに「さささっ」は見ていて和みました。
イノシシは一瞬クマかと思いました(汗)。イノシシも危ないので登山中に会わなくてよかった~
その後、県道115号をさらに進むと……おおぉ!
むか~し、学生時代の夏休みに白馬の八方尾根から日本海の親不知まで、北アルプス最北端を縦断したことがあるのですが、その時通った「白鳥山」。あの時は蒸し暑かった!
そして~
親不知方面
白鳥山方面
この県道は、地元の「さわがに山岳会」によって開かれた「栂海新道」を横切ります!「栂海新道」は北アルプス最北の登山道で、朝日岳から親不知までを結びます。
先ほどの「白鳥山」も栂海新道は通過しますが、「林道山姥線」から「坂田峠」まで車で上がり、そこから登ることができるようです。はっ!坂田峠?坂田金時?
楽しい思い出がよみがえりました~ (*´▽`*)
当時、栂海山荘では丁度さわがに山岳会の方達が滞在されており、あの小野健さんもいらっしゃいました!
山姥の里行く前に、このサイトを見ておけばよかった……
ちなみに、県道115号から白鳥山登山口に続く「林道山姥線」、去年は災害復旧の為に完全通行止めだったようです。
県道115号も、道の脇には今でも雪が残る結構な山間地を走り、途中にはコンクリで覆われていない大きな崖があったりと険しい道です。舗装された道路ですが、所々土で汚れていました。通行の際は十分お気を付けください。
栂海新道について:
栂海新道ジオサイト | 24のジオサイト | 糸魚川ユネスコ世界ジオパークとは | 糸魚川ジオパーク | 糸魚川ユネスコ世界ジオパーク
金太郎の山といえば、やっぱり箱根の『金時山』? May 17, 2019 【金太郎ゆかりの山②】
そろそろ5月も終わり!来月には北アルプスの一部の山が登れるようになります!(冬山は知らない!)
さて、今月もいつものように里山を中心に登山してきましたが、
- 信州の筑北三山(四阿屋山、聖山と姨捨山)
- 虫倉山(大姥様の山姥伝説)
- 大姥山(大姥様と金太郎伝説)
だんだん伝承が残る山にはまってきました。
むむ、金太郎伝説?金太郎といえば、箱根の「金時山」でしょ!
ということで、大姥山に登ってる最中に思いついて、はるばる行ってきました、金時山!
なんだか、日本昔話シリーズとなってきました(笑、少々記事長いです。4000文字程度)
Contents
金時山ガイド
私事ですが、金時山は中学時代に登ったような登ってないような? 曖昧な記憶のまま実家に立ち寄り、親に話を聞くと……
父と私の友人と自分で箱根の外輪山(明神ヶ岳)に登った時、金時山の手前で下山したそうです。
峠から金時山の特徴的なピークが記憶に残っているのは、下山時の心残りの思い出なのか……
だいぶ時を経て、リベンジの金時山です!
『金時山(猪鼻山)』 (きんときやま、いのはなやま)難易度:★★☆☆☆*1 ※山頂近くは急登&階段!
【アクセス】御殿場ICから30分(16㎞)、または大井松田ICから35分(19㎞)
【山頂標高】1,212m(三等三角点)
【登山口標高】840m
【コース距離】4.3km (足柄峠コース、車止めゲートからの往復)
【参考コース時間】計1時間40分(休憩含む)
【展望良さ】★★★☆☆ (主に富士山と箱根方面の展望良好)
【山域地質】35~30万年前の玄武岩からなる火山体の一部。詳細は「箱根と金時山の地質概説」の項参照。
金時山のハイライト
1.何と言っても富士山と箱根の眺望です!
2.金時娘!
足柄峠コースでは、運が良いと金時娘さんの登山風景が見られるかもしれません。
登山道詳細(足柄峠コース)
比較的駐車場が空いていると噂の足柄峠コースから金時山に入りました。足柄峠から林道「矢倉沢仙石原線」に入り、砂利道と舗装道路を進むこと2㎞で駐車場に至ります。
当初の予想とは異なり、平日だったにもかかわらず、駐車場にはすでに10数台の車が停まっていました。ナンバーを見ると小田原や御殿場方面の地元の車がほとんどでした。 金時山大人気です!
信州と比べると人口の多い地域のせいもあるのかな? 因みに長野県は、横浜市・大阪市・名古屋市よりも人口が少ないです。
小さく見える人影。追いつけると思ったら…… 1000回以上登ってる方のようでした。
駐車場は2ヶ所あり、林道ゲートの手前とその100m手前にあります。
金時山と林道ゲート
ゲート通過後、しばらくは緩やかな登りの林道を歩きます。 途中、視界が開け道が広くなると「猪鼻砦跡」です。
砦跡にはベンチがあり、富士山の眺望を楽しみながら休憩できます。
砦跡から数分歩くと、いよいよ本格的な登山道になります。駐車場から20分ほどです。
右の青い建物は、荷揚げ用の滑車を管理する建物です。が、実は荷物だけでなく……
鳥居をくぐると、
急登が始まり、階段かいだんカイダン……
登山道はよく整備されており、急登にもかかわらず非常に登りやすかったです
登山道の横に張られているワイヤーから何やら音が……荷揚げしてるのかと思いきや、よく見るとおばあさんが!大姥様かっ!!!
肖像権の為、お顔は葉っぱに隠れております。悪しからず(笑)
金時娘さんが滑車に乗って上がっていくのを唖然と見送った後、気を取り直して登山再開。登山道から30分ほどで頂上到着です!
最後の階段! 山小屋は2軒あり、左の建物が「金太郎茶屋」、右が「金時娘の茶屋」
まだ金時娘さんは茶屋の中で準備中の様でした。
金太郎茶屋の登山ノートを見て驚いたのですが、金時山は繰り返し登山のメッカのようですね。1000回以上登っている方がたくさん……(私にはマネできない)
山頂からの眺望
麓の街で通勤ラッシュに巻き込まれて、徐々に雲に覆われる富士山に焦っていたのですが、なんとか富士山見えました(;´∀`)
大涌谷から富士山の眺望がすばらしいです!
宝永山も見えます。
この日の二日後に噴火警戒レベルが2に引き上げられました。大涌谷の噴気が若干多いような……
3年前に大涌谷に勤める知人を訪ねたのですが、
「ちょっと硫黄臭いでしょ?最近噴気が多いんだよ」
「ふ~ん、久しぶりに来たから良く分からないけど、多いんだね」
の会話の後、火山活動が活発になり(確か小規模噴火もしましたね)、立ち入り禁止となってしまいました。今回も私が遊びに来た後に……(-_-)
はやく火山活動が沈静化するといいのですが……
金時山の風景指示盤
山頂で風景指示盤を撮った後、金太郎茶屋で山のバッジを買うと、山小屋の女将さんが指示盤についてお話をしてくれました。
「富士山の横に描かれた山がいくつか違うので、あてにしない方がいいよ。指示盤も変える話があるし」と。
間違いに関しては詳しくは述べませんが、指示盤に刻まれた日付を見ると「金時山 海抜1213メートル 昭和32年3月建設 神奈川県箱根町」とありました。
私としては、これだけ古くからあるのだから、間違ってても残しておくのも良いのじゃないかなと思いました。山小屋の方も、私にされたように、登山客に説明できる切っ掛けにもなりますし。
金太郎茶屋の入り口の足元に三等三角点があります。つまづきそう(笑)
金太郎茶屋で購入するともれなく金太郎飴がもらえます
金時娘と白馬岳の関係
指示盤についてそんなことを考えながら、もう一つの山小屋「金時娘の茶屋」の掲示板を眺めていると……
白馬岳の指示盤を運び上げたのは、金時娘さんのお父さんだったのか!
中学生の頃、新田次郎の「強力伝」は読んでいたのですが、誰だったかはすっかり忘れていました。さらに、ちょうど知り合いがGWに白馬岳を登っており、いろいろタイミングが良く驚きました。
今年の夏は「強力伝」を読んで白馬岳に登らないと!
下山後の温泉!
下山後は静岡県側に下り信州に帰りましたが、途中静岡県の小山町の「あしがら温泉」に寄りました。3時間500円。サウナ・露天風呂・アメニティ完備の気持ちの良い温泉でした!足柄峠から降りてすぐにありますので、よろしかったら立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
箱根と金時山の地質概説
金時山のある箱根は、2012年に日本ジオパークに箱根ジオパークとして認定されました。それ以来、大涌谷の箱根ジオミュージアムの開設やガイドの養成など活発に活動しているようです。
箱根火山は伊豆半島が本州に衝突する頃、75万年前から40万年前(諸説あり)に活動を始めました。
活動時期はいくつかのステージに分かれますが、箱根の地形を大きく特徴づける大規模なカルデラ*2は、25~17万年前と8~5万年前に形成したと考えられています。
その後も断続的に活動は続き、3200年前の神山の噴火を最後に、マグマ噴火は発生していません(水蒸気噴火は頻繁に発生しています)*3。
金時山はこのカルデラが形成する以前、35~30万年前に形成した玄武岩質の火山体*4です。その後のカルデラ形成期に火山体の南部が崩落し、現在の山体となったと考えられています。
ちなみに箱根火山の研究は戦前から久野久らによって先駆的に行われ、戦後に大切な成果を生みました。箱根は日本の火山学の発展を考える上で、欠くことのできない火山なのです。
と言いつつも、詳細な1/5万地質図が出てないのは何故? 他の文献は著作権上使えない (-_-)
おわりに
金太郎シリーズはまだまだ続きます。乞うご期待!(えっ?しつこい?;)
ところで、今回選んだルートの「足柄峠」は、「古事記」*5の「ヤマトタケル」が関東遠征から帰る際に、亡くなった妻を思い「あづまはや」と嘆いたとされる地です。
「足柄峠」が古来からヤマトタケルや坂田金時の言い伝えが残るのは、箱根峠が開かれる以前、平安時代までは日本の東と西を結ぶ要衝であり、多くの人々がこの地を訪れた結果なのかもしれませんね。
と思いながら、金時山の人の多さに戸惑うのでした~
超私事になりますが、この山行の1週間後、実家の老犬が亡くなりました。わがまま犬でしたが、やっぱりいなくなると寂しいものです……間際に会えて良かったかな……安らかに……
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参考ウェブサイト
参考文献
【登山@アイルランド】悪魔がかじった山 『Devil's Bit Mountain』は地平線まで緑の広がる大展望!April 2016
ブレクジット問題でとうとう首相が涙の退陣をすることになった混迷のイギリス。
そんなイギリスをかつて宗主国とし、第二次世界大戦後に独立した愛蘭土(アイルランド)。
先週の離婚条件緩和に関する国民投票では、80%以上の賛成となりました。僅差で離婚賛成が上回った20数年前の国民投票と比べると、敬虔なカトリック国であったアイルランドも世界標準の波にさらされているようです。近年では中絶や同性婚などが国民投票で認められましたね。
私が初めて訪れた時のアイルランドから確実に変わりつつあるようです。
なんて考えていたら、最近は山の記事ばかりで、私の愛してやまないアイルランドの記事が少ないなぁ……
ということで、
伝説級のパブでの伝統音楽の演奏や唄に感動し、知り合いのおじさんにウィスキーなみなみ一杯の刑を何度もくらった夜(笑)の翌日に登った、アイルランドの山のお話でも!
週に一回しか開かないパブ。そこでは夜な夜な伝統音楽の演奏が繰り広げられ、その評判は全国に……
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"Devil's Bit Mountain" 登山ガイド
このブログを始めたばかりに記事にした "Devil's Bit Mountain"(悪魔に齧られた?齧った?山)。
アイルランドの聖人と悪魔の伝説が残るこの山は、私にとって一番馴染みのあるアイルランドの山です。
「悪魔が齧った山」は、アイルランド島中央部から少し南に下った牧草地広がる平原に、緩やかに起伏する山。
悪魔が齧ったかのようなギャップが山の頂きに残るこの山に、ちょっと二日酔い気味の3年前、久し振りに登りました。
Templemore 郊外から撮影
『Devil's Bit Mountain』(でびるず・びっと・まうんてん) 難易度:★☆☆☆☆
【所在地】Glenreagh, Co. Tipperary, Ireland
【アクセス】車:ダブリン空港からM50>N7 (M7) >N62経由で2時間30分(160㎞)。列車:最寄り駅 Templemore Station から徒歩2時間(10㎞)……
【山頂標高】478m
【登山口標高】250m
【コース距離】5㎞弱
【参考コース時間】1時間30分ほど
【展望良さ】★★★★★×100! (大きな十字架が立つ山頂からは、緑の牧草地が地平線までずーっと広がります!40 shades of green~♪)
【山域地質】山腹は古生代シルル紀のグレイワッケなどのシルト~粗粒砂岩。山頂は古生代デボン紀の角礫からなる礫岩や砂岩、泥岩などの堆積岩(アイルランドの当該地域の地質図より)。
登山口駐車場まで
登山口駐車場と山頂までの登山道はよく整備されています。
アイルランド空港から(車)
多分参考になさる方はいらっしゃらないと思いますが、真面目に説明っと……
ダブリン空港から車で、環状線のM50(€3.10)からN7 (M7、ここまでは幹線で、よく整備されて走りやすいと思います)に乗り、2時間(140km)ほど西に進み、RoscreaでM62(地方道。石垣で囲まれたカーブの多い見通しの悪い道!気を付けてください……)に入り南に進みます。
Templemoreから登山道駐車場まで向かいます。街の中心のスクエア(広場)にはSparなどのスーパーがありますので、ここで食料と水を調達しても良いかもしれません。宿泊施設もスクエアにあります。
アイルランド唯一の警察学校のあるTemplemore。そのスクエアにあるTown Hall
もし登山の前に宿泊をお考えならば、ホテルも良いですが、割安のアットホームなB&Bも良いかもしれません。Bed & Breakfastはアイルランドの民宿です。一般の民家を改装して宿泊施設として提供しており(民泊ではありません)、アイルランドの生活を垣間見ることができるかもしれません。
それと、体を動かす日の朝食はぜひアイリッシュ・フル・ブレックファストで!
ベーコン&エッグにブラックプティング、ソーセージ、ベイクドトマトとソーダブレッド+他にもいっぱい!
ボリュームたっぷりの朝食で、しっかりとエネルギーを体に注入して登山です!
アイルランドの料理はあまりおいしくないですが、これと揚げたてのフィッシュ・アンド・チップスは例外です(ヴィネガーかけてね)!
宿泊施設と料理に脱線しましたが、登山口駐車場までの標識はなく田舎道を走りますので、グーグルマップなどのナビを活用した方が良いでしょう。
simカードは、空港や大きな街のショッピングセンターなどのキャリアショップで、10数GBのものを1ヶ月単位の買い切りで、2, 3千円程度で購入できます。
因みに、アイルランドではイギリスや日本と同様に車は左側通行です。最高速度は高速道路で時速100km~120km、一般道は時速80kmです。街中は50㎞ほどに規制されます。住宅地などは道路の真ん中に速度規制の為のバンプ(減速帯)があります。
また、大きな交差点はラウンドアバウトと呼ばれる環状交差点が一般的です。環状交差点の進入口には "Yield" という止まれに似た標識があります。これは右方向に車がいなければ徐行進入可能、右方向に車があれば停止を意味します。十分気を付けて通行してください。
Templemore Stationから(列車)
列車で行く場合は、ダブリンのヒューストン駅(ギネス・ビール工場の目の前!)からCork 行きの列車(電車ではありません)に乗ってください。90分ほどで登山口最寄りの駅 Templemore Stationに着きます。
アイルランドには日本のようにタクシーが駅に止まっていませんので、一旦Templemoreの街に向かい、そこから登山口までタクシーで行くのが良いでしょうね。
登山後の観光について:Templemoreは小さな町で観光地もあまりないので、登山後は列車に乗って、アイルランド第二の都市 Cork(近くにタイタニック最後の寄港地Cobhがあります、建造地はベルファスト)や、アメリカからの観光客賑わう湖と山のKillarneyに向かうのも良いでしょう。
駐車場から山頂まで
駐車場から直登コース(看板のYou Are HereからLittle Rock)を進みました。比高差200mほどですので、ハイキング気分です!油断はダメだけど!
春先に咲く黄色のハリエニシダ(地元ではゴーシュ、ファーズといいます。繁殖力が強い為、農家には悩みの種だそうです)の花を見ながらのどかな農道を上がります。
途中の牧草地には羊が!
かわええ~(*´ω`*)
振り返ると、すでに緑が広がってる!
バスタブは水呑場?
牧草地から針葉樹林帯を少し歩くと、円塔が見えてきます。
知合いに車を出してもらいました……(笑)この方は前の塔で待機。
塔はフォーリーと呼ばれ、貴族たちが贅沢の為に建てたものです。手前の石は以前の記事にも書きましたが、イギリス統治時代のカトリック弾圧の名残です。
前来たときは柵なかったような……
ハード(直登)を進みます
登山道途中、グロット(洞窟を模した石積みの中のメアリー像)のマリア様が登山者を見守ります。
グロットは、アイルランドの街や集落に必ずあります
あの崖は氷河性堆積物だったような……崖を左(西)から回り込みます。
頂上の十字架がチラリ
崖を回り込むと、チンネと牧草地!
久し振りの登山(といってもハイキング)で脚が……
駐車場から30分ほどで、頂上到着です!
以前登ったときは、たしか聖パトリックの日(3/17)だったなぁ
頂上からの眺め
見よこの眺め!人がごみ……じゃなくて
ジ・アイルランドです(笑)ほんっと、すばらしい!
アイルランドに帰りたい~☘
山頂から南方の眺め
北から時計回り!(上の写真の反対側)
この景色、癒されます~ ☘☘☘
また登りに行きたいな~
ちなみに、上の写真のどれかにアメリカのオバマ前大統領のひいひいひぃぃおじいちゃんの街Moneygall が見えるかもです……在任中に訪れたことがあるそうですよ。
それと、写真中に風車が見えますが、アイルランドは再生可能エネルギー開発を意欲的に進めてます(発電量の20%を占める)。しかも、日本よりも地質的に安定しており地震や火山の無い国ですが、原発はありません。
おわりに
山頂のギャップ。
悪魔が齧ったとされていますが、実は、この山の南には悪魔が齧った石を吐き捨てて丘になった場所があります。
その丘の上には、約1000年前にアイルランド全土を統べる王様の居城がありました。
それはまたいつか記事にしたいと思います~(前もそんなことを言ったような、笑)